僕の夏詩-七夕の奇跡- 2
あの時分からボーイシュなツバキは男子顔負けの積極性も兼ね揃えていたんだ。
それに引き換え、病弱な僕は夏だというのに色白で、食も薄かった為に細身で、おまけにお袋譲りの小顔の女顔だったために、苛めっ子が放っておく訳もなく、その度にツバキに助けられてばかりっだんだ。
全く、あの七夕祭りに始めて行った時の僕とツバキは、性別を逆に言った方が誰でも納得がいったと思う程だったんだ。
そして幼かった2人は七夕祭りを楽しんでいた。神社の通り道に並ぶ屋台を見て回り最後に神社の庭にある大きな笹がある。
樹齢は500年以上あるらしい。そこに2人は短冊に願いを書いた。
「ねぇアタシ達は将来大人になってもずっと一緒にいられる方法を知ってるよ。」
「どうすればいいの?教えて!」
「それはね、結婚するのよ!」
「結婚すのは好き同士の人がするんでしょ?ツバキちゃんは僕の事好きなの?」
「……っきよ。…すっ…好きよ!好き!キラトが好き!だから大人になったら私をキラトのお嫁さんにしなさい!約束よ!これ、絶対の絶対なんだから!」
「ホント?!僕のお嫁さんになってくれるの?」
「そっ、そうよ!キラトはイヤ?」
「嬉しいよ!ツバキちゃんは僕のお嫁さんだよ!約束だよ!」
「うん!約束。」
幼かった2人でも通じあって笹の前で小さな小指同士が交わった瞬間に2人の周囲から蛍の光のような綺麗な玉の光玉が地中から沸き上がり辺りを幻想的な光を包んだ後に不思議な女性の声がした。
「妾がその願いを何時か叶えてしんぜよう。だがまだその時ではない時がきたとき再び妾の前へ来るがよい。」
その後、光玉は収まり辺りは静かになった。
「ねぇ、今何か聞こえた」
「よね?!」
そして2人は今の出来事を不思議に思いつつ時は過ぎていった。
あれから、数年後。
パタン、交換日記を読み終わりノートを閉じた。
私、松風ツバキは今、14歳。部屋の掃除をしていて机の上にあるキラトと2人で並んで撮った写真。
私はあれから男勝りだけど外見は見違えて女らしくなっていた。
胸も尻もムチムチになり通る男がイヤらしく見つめるを感じる。
ハァ、…あたしは女になってるんだよ、キラト。
っと想った瞬間。写真縦のガラスにヒビが入った。
何かイヤな予感がした。
人のカンは特にイヤな事は当たりやすい。
そして2人の時は急変する。
キラトが突然倒れて病院に運ばれて帰らぬ人になった。