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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 186

北公主ヴァイナモがルミエールの立場であれば、クラウセスタ王国と東公領に援軍を要請して、南公領に侵略を開始しているだろう。
しかし、ルミエールは南公領との戦争を望んだりはしなかった。
丘陵地帯を抜けて、吟遊詩人ディオンとライラはクラウセスタ王国領の街道を幌馬車で王都エルドニアを目指して旅を続けていた。
東公領から王都エルドニアから南東にある港街へ船旅のあと、陸路で王都エルドニアに向かうよりも、吟遊詩人ディオンやライラが移動を続けている街道の陸路はかなり日数はかかる。
ただし、街道沿いには居住地や関所がわりの宿場街があるため、旅の不便さはない。
東公主リシャールは港街から護衛の兵士たちと馬を走らせる。
クラウセスタ王国の宮廷議会に他の公主が参加するには、王都までの移動日数がかなりかかる。
しかし、東公主リシャールだけは東公領の港街の自分専用の船を使い、片道15日ほどで王都エルドニアに到着できる。
リシャールは、吟遊詩人ディオンやライラが到着するより先に、王都エルドニアに東公領から戻ってきていた。
宮廷官僚ステファンが死亡したあと、商業ギルドの女首領イラベラが宮廷官僚の一族に金の貸付けを行い人脈を確保しているまでの間に、東公主リシャールだけが、クラウセスタ王国の宮廷での活動を続けられた。
風向きや潮の流れに影響されない、魔法の帆船。かつて帝都に空から奇襲をかけた戦艦の技術を応用して作られた船を製造し、東公主リシャールは活用していた。
見た目は他の港に停泊している帆船と変わりない。
港街から王港まで三日ほど騎乗して移動する。
宿場街や村はない。野営しながらの旅となる。
旅商人に変装して王都エルドニアに到着すると、護衛たちは城下街で待機する。
リシャールは身支度を整えると宿屋の主人に口止め料と部下たちの滞在費を渡し、リシャールは王城ではなく後宮に向かった。
後宮の侍女たちはリシャールが訪問すると、愛妾フラゥレッティの別邸に案内した。
後宮で別邸を持つのはフラゥレッティだけである。
「公領へ戻られたと聞いていたのですが」
「王都にいるのを知るのは、王都に同行した私の護衛たちと、ここに案内した侍女たちだけです」
「用心深いのですね、リシャール」
フラゥレッティがリシャールの前に立ち、艶やかな唇に微笑を浮かべ見上げる。
そっと手ををのばし頬を撫でる。
「私も貴方のように王都を出て歩きたい」
リシャールが頬にふれているフラゥレッティの手に自分の手を重ねた。
「いつクラウセスタ王から呼ばれるかわからぬ貴女を後宮から連れ出すのは難しい。だから、私から会いに来たのです」
「うれしいことをおっしゃるのね」
爪先立ちになり、目を閉じたフラゥレッティがリシャールの唇にキスをする。
「他の男に抱かれた女など興味ないくせに」
キスのあと、リシャールから背を向けてフラゥレッティがつぶやくように言う。
リシャールがフラゥレッティを背後から抱きしめると、あえて何も言わずにいた。

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