BR42bis 4
「修、生きてると良いな」
彼の顔が心に浮かぶ。いつも元気で前向きな彼の事が好きだった。彼は女子に人気があり、秀仁はそんな彼が羨ましくもあったが不思議と嫌な感じはせず、良い友だった。
あいつはこのBRを喜んでいたな、という者が一人だけいた。
名前は紅約 貫一(こうやく かんいち)と言い、クラスメートで彼に金を貸していない者はいないと言われていた。
踏み倒せるチャンスだと喜んでいたのだろうなって思う。
秀仁も二万円貸していたが、他のクラスメート達はもっと貸していた。
「毒を喰らわば皿まで」かぁ…
ため息をつく。
クラス一同が殺しあうこの状況が残念でならない。
暗くなる心を、首を振って振り払う。
おそらく、紅約は秀仁も殺そうとするのだろう。
油断はできないなと思った。
「人を殺したくないよ…」
秀仁は呟く声を残して小川を離れる。
その後、ナイフ片手に森の中を歩く。
獣も人も現れないことが良いことなのか悪い事なのか、まだわからない。
鳥の鳴き声、渡る風に草木がなびくざわめき。
僕が死んでも、親の元に千の風のようにいられるのかな…
死んだ後のことを考えていると、その音が聞こえた。
ボゴ……
ドサッ!
「まさか?」
嫌な予感がする。外れて欲しいと思いながら、秀仁は近づいて行った。
一歩ずつ近くが、恐怖で足がだんだんと重くなっていくようだ。
額に流れる汗。
バックパックの重みが強くなる。
それでも進むと、焦げ臭い火薬独特の臭いが、それに混じって独特の生臭い臭い。
ここまでくれば何があったのかは秀仁にもわかる。
「うわあ………」
目に捉えると猛烈に気分が悪くなる。