幻影 9
こんな顔すると益々結衣に似ている…
釣られてこっちまで鼻の中が白んできてしまうじゃないか;…
僕はスッと鼻を啜り、親指の腹で結衣の涙を拭ってあげる…
「急ぐことなんか無いさ…結衣が慣れてくるまで、暫くは動かずにこうしているからさ…」
「それじゃあ豊さんが気持ちよく無いんじゃ…?」
円らな瞳で心配そうに見上げてくる結衣…
「そんなこと無いよ…結衣の中は挿れてるだけでも僕は充分に気持ちいいさ…」
それは本当だった…
処女ならではのそのキツさ…
女性と久しぶりにセックスする僕は、あのまま普通に続けていたら呆気なくイってしまっていたところだろう…
「豊さんの、とってもあったかい」
「そうか?」
「こうしてると、豊さんを感じられる。すっごく温かい。ぬくもり感じるよ。だから、もっと」
「痛くないか?」
「大丈夫。豊さんだから。初めての思い出もいっぱい、これから豊さんといっぱいする…」
「結衣…」
なんて健気な子だ。
ジーンと感動する気持ちになりながら、僕はゆっくりと腰を動かし始める。
僕が見ていることを気にして、無理に笑って見せる結衣…
そんな顔されると、返って切なくなっちゃうじゃないか;…
それでも結衣がそれを我慢してでも望むなら、僕は僕なりにそれに応えて上げなくちゃいけないな…
今はそれがどんなに辛くても…その先には、今まで結衣が知らなかった世界が待っているんだからね…
ゆっくり、結衣に負担をかけないようにひたすらゆっくりと結衣の中で自らを動かし始める。
その度に処女の結衣の中はギュッと僕を締め付ける。
今は我慢の時、必死に耐える。
「ああ…ああっ、豊さん、すごいっ、なんか、すごいの…ああっ!!」
結衣のあげる声が、次第に甘くなっていく。