幻影 39
僕なんかとは違って満は放っておいても女の子が寄ってくるほどのイケメン。
瑞希だって何度もナンパされた経験のある美人。
そりゃ理想の2人だ。
「私も早くいい人見つけないとなぁ…」
「優佳里なら時間はかからないだろ」
ある意味、優佳里の方が僕のタイプ…
瑞希がギラギラとした太陽だとしたら、優佳里は優しい月のような存在だ…
「なかなかそうもいかないは…好きになる人はいつも違う子に持っていかれちゃう…」
「満のことか…?」
「満くんだけじゃない…豊くんだって…」
「優佳里…お前まさか…」
「そのまさかよ。私って意気地無しだし、決断力だってないもの…豊くんだって結衣に先を越されたわ」
…それが早くにわかっていたら。
僕だって優佳里と同じで弱い人間なのに。
「でもいいの、みんなの幸せが見れるなら…」
僕は優佳里の言葉を遮るように、彼女の身体を抱きしめた。
あの事件の後、あんな風に励ましてくれたのが瑞希じゃなく優佳里だったら…
同じように辛い目にあった者同志…傷を舐め合うように愛し合い…僕はきっと勃つことが出来たかもしれない…
現に僕はこうして優佳里の身体を抱き締めるだけで、たまらく興奮を覚えてしまう…
「豊くん…」
「優佳里、今は、キミのことを…」
優佳里と見つめあい、そして唇を重ねる。
抵抗はない。むしろ深まっていく。
「んんっ!…ん……」
舌が侵入し絡まりあう。
優佳里の身体を床に寝かせ、手を胸へ、這いまわしていく。