幻影 38
瑞希や満には慣れないのに、何故か僕だけには慣ついてくるコイツ…
内緒でここに遊びに来ているんじゃないのか?と、満に疑われたけど…それがホントになっちゃたんだな…と、頬も緩む…
「またそんな顔して…エッチなこと考えてるの?…」
マグカップを持った優佳里がキッチンから顔を出す…
「ん?そんなことないさ、この子に懐くのは僕だけだろ」
「そうね、豊くんはお気に入りみたいね、でも」
「でも?」
「豊くんに似たのかエッチな悪戯してくるのよね、オスだから」
「おいおい、それは心外だな」
テーブルにハーブティーの注がれたカップ。
いい匂いがこちらにも漂う。
「ユーちゃんって呼んでるの…なんだか豊くんに似てるからぁ…」
優佳里は黒猫を抱き抱えながら微笑む…
「おいおい;…確かにこないだはミッちゃんって呼んでいなかったか?…」
「ミッちゃんはもうお仕舞い…だって満くんは瑞希といい仲になっちゃたんですもの…」
「ああ…そうなんだ」
「たぶん今日集まってないのも、ね。うまく嘘をついたものね」
「満はともかく瑞希が単位がヤバいなんて有り得ないよな」
「だからね…」
優佳里は黒猫を膝に乗せ、ハーブティーをひと口飲んで深くため息をついた。
「優佳里は満のことが好きだったんだな…」
自分のことで精一杯で、そんなことちっとも気付かなかったぜ;…
「誰にも言って無いもの…瑞希だって知らないことよ…」
それはそうかもしれないな…
仲のいい二人のこと…そんなこと知っていたら、瑞希は満に手を出したりはしなかったんじゃないかな?…