幻影 36
結局それで、結衣は彩月とも会わずに帰っていった…
僕としては二人が仲良くなってくれることを望んではいたんだけど、やっぱりあんな声を聞かされた彩月としては戸惑いもあったかのだろう…
ヤル前に紹介するべきだったと、僕はちょっと後悔もした…
「元気?」
「お、おう…いきなりなんだよ」
大学のカフェテラスで一人ゆっくりしているところに優佳里がやってきた。
「二人目の結衣ちゃんとはうまくやってる?」
「その言い方はどうかと思うけど…まあ、おかげさまで、あの頃に戻れた気がするよ」
二人で近況報告。
あとの二人は単位がヤバいとかでそれどころじゃないんだとか。
「それはホントによかったぁは…瑞希にいろいろ聞いてたから心配したのよ…」
「いろいろ?…それって、、」
「やっぱり満くんの前では言わない方がいいかな?…って気を使ったんだから…」
あっコイツ…僕が瑞希の前で勃たなかったことを言っているのかよ;…
結衣を亡くした後は何もする気が起きなくて、それを励ましてくれる意味でも瑞希が僕に迫ってきた。
そのときは恥ずかしながら…
「瑞希から聞いてずっと心配で…結衣があんなことになったのは私のせいでもあるから…」
「優佳里は悪くないよ…」
「だって私があんなことさえしなければ…」
「それはもう済んだことだろ…忘れた方がいいよ…」
「でも豊くんだって警察に疑われるようなことになっちゃって…散々嫌な思いしたんでしょ?…」
「僕のことは構わないさ…原因は僕にもあった訳なんだから、警察が疑うのも当たり前さ…」