幻影 21
それにしても驚いた。
姉妹構成まで先代の結衣と同じだったのだ。
結衣のお姉さん…4歳上の咲菜さんは結衣を亡くした後、落ち込んでいた僕を頻繁に訪ねてきて、何度も何度も励ましてくれた。
2歳下の妹の真紀ちゃんも同じだ。
この結衣のお姉さんと妹も、もちろん美人、可愛い子なんだろうな…
「もしかしてだけど…そのお姉さんや妹さんって、結衣に似ているの?…」
「はい勿論姉妹ですから…特に姉は私と双子じゃないかって言われるぐらいにそっくりなんですよ…」
「そ、そうなんだ…」
それって…亡くなった結衣に似ている女性がここにいる結衣以外に…もう一人いるってことだよな…
玄関のドアを開け結衣を中に入れる。
先代の結衣なら慣れた光景だけど、今はちょっと緊張するな。
彩月はどうやら家にいるみたいだ。
「まあ普通だし特にみるべきところもないけど」
「いえ、素敵ですね、いいにおいがします」
お世辞も上手い子だ。
「リビングでゆっくりしてて、コーヒーか紅茶入れるから」
「あっ、もう構わないでください…豊さんのお部屋を見たら直ぐに失礼しますから…」
「ぅえっ?!…僕の部屋見るの?…」
マズイ;…
ティシュやエロ漫画が散乱していた筈;…
「それはそうですよぉ、その為に豊さんのお家に来たんですものぉ…」
そういう賢さ?も結衣…先代にそっくりなのだ。
あの頃は定期的に掃除にやってきて僕の粗探しして、全て終わらせて…結局結衣を頂くなんてこともあった。
「男の人の部屋ですもん、ちょっとムフフなものがあっても平気ですよ」
「よくわかってるじゃないか…」