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強制結婚制度  第U章
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強制結婚制度  第U章 36

「もしそれが国の為であるなら、運動性能のいい子供だけを量産するだけの目的なら、俺はサッカーを辞める」
皆が拓斗の方へ向く。
「俺はサッカーが好きで好きでたまらないからずっとやってきた。同時に真紀と美樹が好きだから一生懸命告白した。でもそれで結婚できないなら、俺は好きなものを全て手放す。それでいいだろう?」
最後は自嘲気味に吐き捨てるように。

さすがに係員の首裏には大量の汗が流れ落ちていた。
これからのサッカー界を背負って立てる男の選手生命を自分が断とうとしている事に気付き、非常に慌てていた。
また静寂に包まれた部屋。だが、
「う、う、わたし、わたしは・・・」
突然の声に皆が反対側に向く。
「わたしはどうしたら、どうしたらいいんだよぉ」
倉島明日香は泣いていた。

今まで新体操の練習と試合ばかりで恋愛をする時間さえなかった彼女に、いきなり強制結婚制度が届いた時、正直戸惑った。
でも、その相手に抱きとめてもらえるならそれでいいと、恋に初心な少女らしい考えだった。
でも、その結婚相手が怒っている。
それは自分のせいじゃないかと思った瞬間に、涙が止まらなくなってしまった。
逆に慌てたのは拓斗だ。
そういうつもりで言ったのではない。自分は3人奥さんを持つことになっても支える自信はある。
試合が立て込んだら、ちょっと不安だけど・・・。
でも、そうではなく係員の事務的な対応に非常に腹が立ったのだ。
でも結果的に倉島さんを泣かせてしまった事に、拓斗はオロオロする。
そんな場の雰囲気が悪い状況の中、今まで口をつぐんでいた美樹が突如話し始めた。
「ねぇ明日香さんは、ずぅ〜と新体操したいの?」
「はっはい…勿論です!」
「で…明日香さん自身の食事や体調管理は?」
「そ…それは…お母さんやコーチ、寮の方に任せっきりで…」
美樹は明日香と二言三言話すと係員に振り向き「なら私、明日香さんと結婚するわ」と馬鹿げた事を告げた。
『はぁ〜!!』
当たり前の事だが他の者は美樹の真意を図りかねている、だが美樹の目つきは至って真剣な物だった。
「だって拓斗さんが結婚に踏み切った理由の一つに今後の体調管理に不安があるからでしょ」美樹の言葉に拓斗も「あ、ああ」と頷く。
「拓斗さんも明日香さんも自分自身の体調管理に不安があるのにそのまま結婚したらスポーツ選手として長く続けられないわ」美樹は淡々としかし熱く語る。
すると真紀も美樹が思っている事を悟ったのか援護をし始めた。
「私は大学でスポーツ栄養学を専攻してますし、美樹も中学高校とサッカー部のマネージャーをしてたからマッサージ等は出来るわ」と係員に詰め寄った。

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