強運天使が舞い降りた!? 12
「ん?」
ゴキブリ?らしき虫はいつの間にか、一瞬で消え去っていた。
「あの…もういなくなりましたけど」
桐山先生は僕に抱きついたまま離れようとしない。
「本当ですか?」
「ええ…」
退治したわけじゃないんだけど…
それよりも桐山先生、いつまで僕に抱きついているのでしょう…
桐山先生は慌てて僕から離れた。
顔は真っ赤だ。
「あの。ありがとうございました。」
「いや。別に…」
「佐藤先生、今晩空いてます?」
「…まあ…でも何故」
「一緒に夕食でも…」
…誘いは嬉しいけど、なんせ家には居候もいるし…
プールに戻る。
それぞれ自主的に練習しており、部員たちはプールで泳いでいる。
エリサは…おぉ、なかなかいいフォームだ。しかも速い。
…まあ、何かしらの能力を使えば簡単に出来るんだろう。
しばらく桐山先生と2人で練習を眺める。
でも、1人だけイスに座ってみんなが泳いでいるのをうらやましそうに見ている女子生徒を見つけた。
「あれ?あの子、なんで泳がないんだ?」
「彼女は…実は、病気で泳げない身体で…それまでは、水泳部で一番タイムも優秀だったんです」
一人の女子生徒がやってきて、そう言った。
「君は?」
「水泳部部長の長瀬智子です」
背が高くてきりっとした顔立ちの美人だ。
「あの、手紙は読んでくれました?」
智子が僕の腕に絡んできて、耳元で囁く。
「手紙?ああ、あのラブレターの事か?まだ読んでないけど、あれは君が書いたのか?」
「はい。あの、今度デートしてください。」