そして、少女は復讐する 44
そして、いつも通り何も考えてないような軽やかな足取りで自販機へ・・・
鼻歌交じりに飲み物を購入。
しかも全員の好みを把握してる辺り、流石はナンパ師である。
買い終わるとすれ違う看護師を目の端でチェックしながら病室に戻る。
「ほら、買ってきたぞ」
「「兄さん、あざーす!」」
「ごめんね、健二くん」
中学生2人は当然のように、由佳里は済まなそうに飲み物を受け取る。
夏菜はオレンジジュース、小夜子は炭酸飲料、そして由佳里はミルクティー。
「ありがとう、ミルクティー好きなのよ」
「ああ、兄さんオンナの好み覚えるのだけは得意っすからね」
何も言ってないのに好みをピタリと買ってきた健二に驚く由佳里に、小夜子が缶をいい音させながら開けて言う。
「そうだ凄いだろう!、濡れたか?」
「「ぎゃはははっ!!、そんな訳ねーべ!!」」
ドヤ顔で威張る健二に夏菜と小夜子が笑いながら突っ込み返す。
鉄也や敦と比べても健二はモデルでもできそうな程にイケメンなのだが、こう言う三枚目キャラなのがある種の親しみやすさや愛嬌を醸し出している。
身体の付き合いがあっても重すぎず友達感覚で付き合える・・・
まぁ、故にナンパ師なのだろう。
「健二くんは買ってこなかったの?」
手ぶらの健二を気にする由佳里。
「ユカリン優しいなぁ・・・オレ、ユカリンのおっぱい飲むからいいよ!」
そう言って由佳里の胸元に頬ずりする。
「やだぁ・・・出ないわよ、もうっ・・・」
由佳里も嫌がる様子は無い。
それどころか優しい瞳で健二を見ると、その頭をそっと抱く。
「嫌な事あったら・・・私の身体で忘れたらいいよ・・・健二くんだったらいつでもいいから・・・」
由佳里のその言葉に健二は動きを止め真顔になる。
心配で見舞いに来たのに、逆に心配されたらしい。
多分、いつもと違う健二を見抜かれたのかもしれない・・・
少しだけノーブラの柔らかい胸の感触を堪能しつつ、健二は真顔をいつものチャラい笑顔に変え、由佳里の胸元から顔を上げた。
「うん、ユカリンありがとうな!」
何となくだが吹っ切れた。
健二にとって自分の人生を狂わせ苦しめるのは常に女なのだが、人生を救い喜びを与えてくれるのもまた女なのである。
それに感謝しつつ、由佳里が元気そうな事を確認した健二は帰途についたのだ。
街の工場街の一角。
夕方になれば人通りも少なく、仕事の終える夜に至ってはほぼ無人。
そんな街角の古びたシャッター付きの工場兼住居。
シャッターが閉まったままの家屋の横にある扉からそこへ健二は入っていく。
「ただいまー、帰ってきたぜ」
その声と共に2人の幼児がかけてくる。
「「パパァ、おかえりー」」
健二をパパと呼んだその幼児。
5、6歳程度の女児とややそれより小さい男児。
健二の年齢考えると、父親と言うには子供たちは大きすぎる。
そして奥から小走りに現れる女性。
「おかえりなさい、健二さん」
「・・・ただいま、桜子」
桜子と呼ばれた女性は20代中盤ぐらい。
そう、健二とよく似た美人のこの女性は、実の姉である。
だが、彼女の取った行動は姉のそれでない。
健二に近づくと抱き付き、背伸びして唇を突き出す。
それを健二は受け止め軽くキス。
まるで夫婦のようである。
「さぁ、ママはパパのお着替え手伝うから向こうで遊んでらっしゃいな」
「「はぁーい、パパ、あとでねー」」
子供達がまた駆けていくのを見ながら健二は靴を抜ぎ玄関横の小部屋に入る。
桜子もついて入ると、健二は小部屋に鍵をかける。
「いい子にしてたか?、桜子」
「ええ、ちゃんと言いつけ守りました・・・」
健二は笑顔だがあのチャラい笑顔とはまた違う。
言うなれば家庭的な父親の笑顔だろうか。
だが、桜子は妻として母としての笑顔が、その言葉で変化する。
「だから・・・雌豚桜子にご褒美オチ○ポくださいぃ・・・」
股をもじもじさせながら頬を赤く染める。
健二は一瞬苦しそうな顔をするが、すぐに表情を戻した。
「ああいいぜ、ちゃんと我慢できたご褒美やるよ」
「ああ・・・うれしいですぅ・・・」
蕩けるような表情になりながら、桜子はワンピースを脱ぐ。
そして、健二の前に座ると、うっとりとした表情で言う。
「今日も奴隷妻桜子を飼って頂いてありがとうございます・・・誠心誠意ご奉仕して、ご主人様を満足させますので可愛がってくださいませ」
実の姉と弟のやり取りではない。
そもそも桜子は健二を弟と見てる雰囲気は無い。
むしろ、弟を自分の主として見ているのだ。
その裸体もそう。
大きくやや垂れ気味の乳房には乳首ピアス。
剃って無毛の割れ目にもピアス。
背中には満開の桜の入れ墨と、普通の女ではありえない見た目。
『姉さん・・・』と呟きかけて止める。
もう、彼女にとって必要としてるのは『主人』なのだ。
拉致され輪姦され、2人も孕まされた挙句、壊された姉・・・
これは姉のなれの果てなのだ。
仲の良かった家族を襲った悲劇。
小学生だった健二も大きなショックを受けた。
その姉が見つかったのが彼が中学になった頃・・・
とあるヤクザ幹部の逮捕劇で保護された女達の中に姉もいた。
だが家族の記憶も全て失い、只の肉便器に成り果ててた姉。
唯一覚えてたのが『ダイスキなケンジ』と言うワード。
弟の事すら忘れてるのに、それだけは覚えていた姉。