人生間違えたかな? 7
胸の膨らみもある。この世界でも、私は、女なんだ。
「先輩!」
「先輩!よかった、大丈夫でしたか」
「私…どうしてたの…」
「練習中に、急に倒れたんです」
そして、大人が近づいてくる。だんだん、この世界の私の記憶が入ってきた。部の顧問だ。
「病院とか、行かなくて、大丈夫?」
「大丈夫、です…」
でも、蘇ってくる記憶は、私を混乱させた。
「あの、すみません、今日は、早退して、いいですか?」
「ええ、もちろん、お大事にね」
私は、ロッカーから地歴科の教科書を取り出して、後ろの方の見た。
“こうして、世界は、争いを無くすため、男性を減らして女性中心の社会を、作ることになりました”
私は、下を向きながら、体育館に戻った。
「大丈夫?」
「うん」
「今日は、帰ったほうが、いいよ」
チームメイトの声に甘えて、私は着替える場所に行って、レオタードを外した。
この場所は、全く仕切られていない…そう、少なくとも、この高校には一人の男性も、いないのだ。
私は制服に着替え、自宅への帰路についた。途中、見かけるのは女性ばかりで、男性の姿を全く見かけることはなかった。この世界では男を女に性転換する薬が開発され、殆どの男が女に変えられていた。また、女性の身体の細胞から精子を作れるようになった為、女同士でも子供を作れるようになった。そして、女同士での恋愛や結婚が当然のように盛んに行われている。私自身、クラスメイトの女子と恋仲になっている。