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ノーマンズランド開拓記
官能リレー小説 - その他

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ノーマンズランド開拓記 30

それを聞いたルークは複雑な表情を浮かべたまま黙り込んでしまった。
「…ルーク様、どうしました?」
「…はっ!い…いや、何でもないよ」
ベイリーは言った。
「身分が無い?それじゃあアルディアには貴族も王族もいないって事かい?そりゃあ天国みたいな所だなぁ〜」
「ばか!ルーク様は…!」
モットが慌ててたしなめる。
「…あっ!す…すいません!俺、そんなつもりじゃあ…」
「…いや、良いんだよ。僕たち貴族の暮らしが君達の労働の上に成り立っている事は理解している…」
ルークは少し自嘲気味な笑みを浮かべた。
こういう(ある意味、暗い、嫌な)顔をする事もするんだなぁ…とイワノフは思った。
だが嫌悪感よりは“ルークの新たな一面を見られた”という新鮮さの方が大きかった。
ルークは気を取り直してハーヴィンに言う。
「…それより、この大陸についてもっと知りたい!もっと色々訊いてみよう!」
「はい!」

それから色々な事が解った。
まず彼らの生活形態…やはりハーヴィンの予想通り、彼らは農耕を行っていた。
ただし完全な農耕民という訳ではなく、狩猟・採集も行っており、その割合は半々との事…。

彼らの農法は極めて原始的だった…。
まず農地にしたい森の一角の木の皮を全て剥ぐ。
すると木は枯れて地面に日が当たるようになるので、そこに増やしたい植物の種を植えて生えて来るのを待つのだ。
元が森なので地質は腐葉土…栄養は豊富だ。
それでも何度か収穫を行うと土中の養分は無くなるし、作物以外の雑草も繁茂するようになる。
そうしたら今度は枯れ木の森に火を放つ。
雑草は無くなるし、燃えた灰が養分となって、また種を蒔けば収穫が出来るという訳だ。
そしてまた何度か収穫を行った後、完全に使い果たした土地を放棄して、別の土地で再び同じ事を行う。
放棄された土地は数年で森に戻る…以下、繰り返し。

さらに、もっと重要な事実も判明した。
なぜハロハとウザラの部族が開拓団に度重なる攻撃を仕掛けて来たか…だ。
彼女達の部族は完全に狩猟採集のみを生業とする部族で、その生活形態ゆえか好戦的で誇り高く、そして信仰深いという。
長老は言った。
(※以降アルディア語は『』にて表記)
『…我々も含め、この地では広く“精霊”を崇めている。精霊は自然界の様々な物や現象に宿る。例えば獣、鳥、魚はもちろん、樹木や花、石などにも精霊は宿っているし、雨や雷、嵐、地震などの天災にも精霊は宿るのだ。君達を襲った部族は特に精霊を深く敬い大切している。彼らが特に重要視しているのは“木”だ。彼らは植物のカミ(旧大陸の“神”とは全く別物)の末裔を称しており、死んだ人間の魂は木になると信じている。だから木を傷付ける事は絶対に無いし、テントの柱や槍や弓矢といった狩りに必要な道具など、やむを得ず樹木を切り倒して加工する際には、ある特別な儀式を行う…』
「その特別な儀式とは何ですか?」
ルークは尋ねた。
(ハーヴィンを通して)
長老は答える。
『…生け贄だ。彼らは一本の木を切るのに、若い男女5人の心臓をえぐり出して木の精霊に捧げる…』
それを聞いた皆は驚いた。
「木一本切るのに5人殺すだって!!!?」
「人間の命より木の方が重いっていうのか!!!?」
「狂ってるよ!!!!」
『…驚く事は無い。それだけ彼らにとって木は特別な存在なのだ…』
「「「……」」」
一同、言葉が無かった。
ずっと謎だった疑問がようやく解けた。
ルークはつぶやく。
「何て事だ…僕達は彼らの一番大切な物を破壊していたんだ…無自覚の内に…」
なるほど、開拓団は上陸した翌日から木を切り倒して、砦、家屋、その他の建物、桟橋などの設営に取りかかった。
彼らから“敵”として認識されたのはその時からだったのだ…。

ふとイワノフが疑問に思って尋ねた。
「あなた方はどうなんですか?土から恵みを得る過程で、木を枯らしたり、焼いたりして…」
『もちろん我々も木の命を奪う前には“儀式”を行う…』
「「「…っ!!!」」」
その答えに一同はハッと息を呑んだ。
だが長老は言う。
『…ただし、我々はあの野蛮人共とは違う。生け贄には人ではなく狩った獣を捧げる。木一本につき5匹なんて馬鹿な真似もしない…』
それを聞いて皆ホッと肩を撫で下ろす。
同じアルディア人同士で“野蛮人”というのも変な気がするが…。
長老は続ける。
『…大切なのは自然への畏敬の念や祖先の霊を敬う気持ちだ…やつらはそれを理解していない。ただひたすら掟を守る事だけに執着している…』
その掟というのも、親から子、そして孫へと語り伝えられていく内に、次第に過激化し、極端化していったらしい…。
「何でだんだん過激になってったんだ?」
「全員ドMなのか?」
モットとベイリーの疑問にハーヴィンが答えた。
「無意味に厳しい掟で自らを縛るのは、暮らしに余裕があるからだ」
狩猟採集生活といえば不安定で常に飢餓の危機に瀕しているというイメージがあるが、実は労働時間が短く余暇が多いという一面もある。
そのため一見すると無意味とも思える(ちゃんとした意味がある場合もある)様々な“ルール”が必要なのだ。
長老は更に続けた。
『…当然やつらは我々の事も軽蔑し、そして憎悪している。そこの大きな男(イワノフ)が指摘した通り、我々の生き方は多くの木の命を奪う…それにやつらは、人間が自然界に手を加えて恵みを得る事は、精霊達への冒涜だと考えている。やつらに言わせれば我々は赦されない事をしているのだ。過去、我々は幾度となくやつらと刃を交えて来た。この村を取り巻く柵や櫓も、やつらとの戦いのための物なのだ…』

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