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新しい人生
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新しい人生 5

「あそこに工事現場があるだろ」
「大きな工事現場ね」
「あのマンションが建て始めの頃に戻ってる…俺が自殺した時、タワマンとしてほぼ完成してたはずなんだ」
「まさか、若返っただけじゃなくて昔に戻ってる?」
「ちょっと過去に帰されたってことかな?」
「かもしれませんね。スマホとテレビを見てみない?」

俺はTVをオンにして、栗子ちゃんはハンドバッグからスマホを取り出した。
「へ?」
俺たちは変な声を出した。驚いて当然だ、テレビに出ている男女が下着のままでテレビに出ているからだ。
「なに、これ?」
栗子が見ているネットニュースには「男女共に服を着てはいけません。下着はOKです。」と大きめの字で書かれていた。

「どういうことよ?」

栗子ちゃんはそのニュース記事をタップした。
すると、下着で暮らせる仮想世界 ランジェリーワールド 加入者初月無料サービス中!とあった。

「なんだ?ニュースサイトの記事に混ぜられた広告じゃないか」

栗子ちゃんがページを戻すと、記事の下に小さく「PR 〇〇〇〇〇」と広告元の名前が書いてある。
そういやあの頃一時はやったんだよな。
でもそれならTVはどうなんだ…?俺は手にしていたリモコンを操作しようとして気付いた。

「すまん栗子ちゃん。これ、俺のDVDだ」

俺はTVのつもりで、TVも連動操作できるブルーレイデッキのリモコンを手にしていた。
間違えてDVDを再生してしまったんだ。
俺は近くにあったDVDケースを見せる。『上着を着ていただけなのに』というコメディ映画のケースだ。
あの頃はやったんだった。面白いんでDVD買ったんだった。


「これってあの頃流行った映画よね。それにこの仮想世界も、私達が死んだ頃にはサービス終了してたよね」
「ああ。そうだ。テレビニュースにチャンネルを変えるよ」

俺はとりあえずチャンネルを切り替え、情報番組が映った。すると、『上着を着ていただけなのに』が流行った頃に結婚した有名女優さんの結婚のニュースが丁度流れていた。
たしか相手はプロサッカー選手で…

「あ、サッカー日本代表の桐島さんだ。この時に彼女と結婚したんだよね」
「うん、間違いない。あの二人が結婚したのはあの頃だ」
「やっぱり、過去に戻ったのね」
「そのようだな」
「これ見て。二人の結婚のニュース、こっちにも出てる」

俺が栗子ちゃんのスマホを見たら、同じニュースが出ていた。
他のニュースも、あの時期のものばかりだった。俺が自殺した時にはチームの不動の四番にのし上がっていた選手が、ルーキーながら本塁打を量産して騒がれていた。
スマホや、PCの日時表示も、当時を示していた。
だとすると年数がちょっと合わない。
一連のニュースを示しながら、俺は栗子ちゃんに問いかけた。

「なあ、これって3年近く前に戻ったって事だよな…でも俺、自殺した時25歳で、あの神様は20歳に戻したって言ってたんだ。年数が合わないような」
「私もよ………戻ったのは3年前だけど、肉体はもっと若返らせたって事?」
「そうみたいだね。となるとお金は……」

スマホの口座アプリで、俺も栗子ちゃんもそれぞれのお金を確認していた。
俺の残高は、FXを始める直前の、準備資金が貯まった時点になっていた。

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