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新しい人生
官能リレー小説 - その他

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新しい人生 1

ある山林の中、こんな山奥には似つかわしくない一台の高級車が停まっている。運転席には一人の若い男が腰掛けていた。彼の着ているヨレヨレのスーツと薄汚れたワイシャツは共に高級ブランド物だが今や見る影も無い。そして助手席には火の付いた練炭……そう、彼は自殺をしようとしているのだ。
「ふふふ…今頃は債権者達が俺の家に押し掛けて、パソコンの上の遺書を発見してる頃だろうなぁ…」
男は虚しく笑ってつぶやく。彼の名は司馬山 茂(しばやま しげる)、25歳。元々平凡なサラリーマンだった彼は小遣い稼ぎにと始めたFXの投資で神憑り的な大成功を収めた。一生働いても手に入れられないような大金をわずか数ヶ月で手にした彼は、脱サラして投資顧問業を始めた。
しかし、成功が一瞬なら転落も一瞬だった。今から一週間前、相場は完全に裏目に出た。お客の損だけならまだしも、自分自身も大金を借りて大勝負に出ていた茂は一気に億単位の借金を背負う事となり…現在に至るのである。
「あぁ…だんだん眠くなって来たなぁ…いよいよこの世と“おさらば”かぁ…」
さっき飲んだ睡眠薬が効いてきたようだ。自分が死んでも悲しむ家族が居ないのが唯一の救いだと茂は思った。彼は孤児で施設で育ったのだ。だからこの世に何の未練も無かった。茂の意識は永久に続く深い闇の底へと落ちていった……。



「……あれ?」
茂は目覚めた。彼はなぜか地面に横たわっていた。
車はどこに行った?
いや、それより自分は死んだはずでは…?
そこで初めて茂は自分が全裸である事に気付いた。
「い…一体どうなってんだ…!?」
そこは森の中だったが、何となく雰囲気が違う。どうやら別な森のようだ。
「参ったなぁ…」
とりあえず茂は辺りの様子を探る事にした。周りに人はいないようなので隠す必要は無かったが、誰かに見つかったら変態扱い間違い無しだ。
「あれ?頭の中がまだ、くらくらするぞ。」
茂はまた倒れてしまった。さっき飲んだ睡眠薬がまだ効いていたようだ。
そして、気が付くと、真っ白な部屋のベットで目を覚ますと、女の人の声が聞こえた。
「気か付きましたね。」
それは看護士だった。
「ここはどこですか?」
「○○市総合病院です。あなたは助けられたんです」
「そうだったのか……よし!せっかく助かった命だ。生まれ変わったと思ってもう一度1からやり直してみるよ!」

新しい人生【完】

ご愛読ありがとうございました。




………
……


「あ…夢か…」
それは白昼夢だった。
茂は再び辺りを探るために歩き始めた。

「…あ!あそこに誰か倒れてる!」
しばらく歩いて行くと遠くに人が横たわっているのを見つけた。近付いてみると髪の長い若い女性だった。彼女もやはり全裸だ。
「もしもし!大丈夫ですか!?」
「う…う〜ん……あれ?私、確か死んだはずじゃあ…?」
女性は目覚めた。茂は彼女に見覚えがあった。
(どこかで見た顔だが…誰だったかなぁ…?こんな美人に知り合いは居ないし…あ!そうだ思い出した!)
「あの、ひょっとしてあなた元グラビアアイドルでJカップの爆乳AV女優、楠木 栗子(くすのき くりす)さんじゃありませんか?」
「は…はい、そうですけど…」
(やっぱりそうだ!でも何でAV女優の楠木 栗子がここに…?)
「…って、あなた!何で裸なんですか!?やだ!?私も裸だし!キャアァァ〜!!変態〜!!犯される〜!!誰か〜!!」
栗子は胸と股を隠して騒ぎ始めた。茂は溜め息混じりに言う。
「叫んでも無駄ですよ。この森の中、誰も居ないみたいだし…」
「あなた何者なの!?私は確か自分のマンションのお風呂場で手首を切って死んだはずよ!?」
「それでか…僕もあなたと同じですよ。自殺して死んだと思ったら、なぜかこの森の中にいたんです…しかも全裸でね」
「そ…そうだったんですか…ごめんなさい。じゃあここってやっぱり死後の世界なんでしょうか…?」
「さあ、僕にも分かりません…」

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