全てが叶うスマフォ 22
さて…
授業の設定はしたし、あとは眠気が来ないように…
「一郎くんが寝たら、バーン!って叩いちゃおっか?」
…隣の席の船岡千早が恐ろしいことを言う…
5時間目が始まる。
日本史担当の老教師・浅野文雄が淡々と説明を始める。
正直に言おう。
この人の語りは催眠術に近い。
聞いているだけで眠気が襲ってきて、いつの間にか授業の終わりを知らせるチャイムが鳴る…
そんなのでは、吉原の遊郭の説明をされても興奮はしない…
俺はこっそりスマフォを取り出して机の下でいじる。
浅野先生は性別を女性に変え、年齢も大幅に若返らせる。
教師になりたての23歳。女性教師浅野文乃とした。
「よ、吉原遊郭の設置は江戸の市内から無許可の遊女を取り締まる目的があり…」
初初しい感じの浅野先生が黒板に板書していく。
時々上ずった声になるのはスマフォで「性に対して初心なため過剰に意識してしまう。」としたせいか。
でも許可が何年とか吉原という名の由来とかつまらないな。
そこで俺は挙手をしてちょっと質問することにした。
「先生、質問なんですが。」
「な、何かしら佐々木君」先生は少し赤面している。
「遊女って何をするんですか?」「え?」
「遊ぶに女だから何かで遊ぶんですよね。
でも勝手にやるのは禁止なんて遊女はどんな事をするんですか?」
「そ、それは…」
文乃先生の顔が完全に真っ赤に染まり、黙ってしまう。
その姿が可愛らしい。
「一郎、ちょっとやり過ぎじゃない…?」
後ろの席の由希とアリスにお叱りを受けてしまう。