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原始人
官能リレー小説 - その他

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原始人 1

「父ちゃん、今日はいい肉獲って来てね!」
「お…おう、まかせとけ!」
毛皮を腰に巻き、石槍を肩に担いだ青年アルは幼い娘の頭を撫でながら言った。
彼は現代で言えば高校生ぐらいの年齢だが、この原始時代においては立派な成人である。
「あなた、今日こそはウサギ一匹でも良いから捕まえて来てね?じゃないと私達一家四人飢え死によ…」
赤ん坊を抱いた妻のラナが心配そうな表情で言う。
「分かってるさ…じゃあ、行って来る」
アルは洞窟を出て行った。

「はぁ…とは言ったものの、最近は獣の姿を全くと言って良いほど見かけないんだよなぁ…。おまけに何だか肌寒い日が増えて来たような気がする…。俺が小さい頃はもっと暖かくて、獣もいっぱいいたし、木の実だって山ほど取れたはずなのになぁ…」
アルがそんな事を考えながら歩いていた時だった。
「キャァ〜〜!!!」
「待て!!こいつ!」
「逃がさねえぞ!!」
女の悲鳴と男達の怒鳴り声が聞こえた。
「何だ何だ!?」
アルは慌てて声のした方に走って行った。

駆け付けると石槍を持った二人の男が一人の女を取り押さえている所だった。
男達は獣の牙で作った首飾りを下げている。
その首飾りが川向こうの村の者の印である事をアルは知っていた。
しかし女が妙だった。
彼女は見た事も無い太陽の光ような色の髪(金髪)をしている。
この辺りの人間ではないようだ。
綺麗な女だ…とアルは思った。
「イヤァ〜!!離してぇ!!」
「…ったく、手こずらせやがって…」
「だがこれで終わりだ…」
男は石槍を構えて彼女に突き刺そうとした。
「お…おい!お前ら止めろ!!」
アルは思わず男達に向かって叫んだ。
「ん?何だお前…?」
「お前には関係の無い事だ。引っ込んでろ!」
「そ…そうはいくか!どうしてその女を殺そうとするんだ!?」
二人に凄まれ、アルは内心ビクビクしながらも女を守るために虚勢を張ってみせた。
男は女の髪を掴んで女の顔をアルの方に突き出して言った。
「元はと言えばこいつらが悪いんだ!」
「どういう事だ…!?」
「こいつら、今から月が一巡りする(一ヶ月)ぐらい前にやって来て俺達の村の近くに住み着いたんだ!」
「そして俺達の獣や魚や木の実を勝手に取りやがった!だから俺達、こいつらの村に攻め込んで女子供もろとも皆殺しにしたんだ!こいつが最後の一人だ!」
要はテリトリー(縄張り)を侵した事への報復という訳だ。
人間に限らず生物という物は、一個体が生存するために最低限必要な面積が決まっているのだという。
当然、過密状態になれば争いが起こる。
いつの時代、どの生物でも同じ事だ。
だが、この時代の人類に関して言えば、それが直に個人の生死、ひいては部族の盛衰に直結していた。

「お…お願い!!助けてぇ!!」
女は泣きながらアルに助けを求めた。
アルは言った。
「な…なぁ、お前ら、その村はこの女を残して全滅したんだろう?なら事態は解決したんだし、今更この女一人、生かそうと殺そうと影響は無いだろう。命だけは助けてやったらどうだ…?」
「ふざけるな!物事はやる時には徹底的にやらねばならんのだ!中途半端なのが一番良くない!」
「だいたいこいつは族長の娘なんだからな!生かしておいたら子孫を増やして復讐しに来るかも知れないじゃないか!俺達の村の将来のためにも今ここで根絶やしにしなきゃならないんだぁ!!」
そう言うと男は今度こそ女を突き刺そうと石槍を振りかざした。
「や…止めろぉ!!!」
アルは殆ど反射的に体が動いていた。
次の瞬間、アルの石槍が男の胸を貫いた。
「うぐぅ…!!き…貴様ぁ…邪魔する気かぁ!?」
男は自らの身体に突き立てられた槍をガッシリと掴んで押さえた。
「し…しまった!抜けない…」
「死ねぇ!!」
もう一人の男がアルの身体を目掛けて槍を突き出す。

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