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原始人
官能リレー小説 - その他

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原始人 2

だが…
「やぁ!!」
「うわ!?」
自由になった女が男に体当たりして槍先を逸らした。
「今だ!」
その隙を突いてアルは既に息絶えた男の胸から槍を引き抜き、バランスを崩した男の腹を突いた。
「ぐあぁぁ!!?」
男は腹を押さえて倒れて動かなくなった。
(マズいなぁ…)
アルは思った。
他の村の者を殺してしまった…これは最悪の場合、村同士の戦争に発展する可能性がある。
(…ま、バレなきゃ良いだけの話なんだけどな…)
アルは周囲を見回して辺りに誰も居ない事を確認する。
「よし、誰にも見られてないな…来い!」
「…あっ!」
彼は女の手を掴むと急いでその場を後にした。

…この時代の人間は、あまり深く思い悩まない。
生きる事に精一杯なのでウジウジ悩んでいる暇が無いのだ。

現場から離れた所に移動したアルは連れて来た女に言った。
「お前、この事誰にも言うなよ?」
「言わないわ。それより助けてくれて、どうもありがとう。私はティティって言うの」
「ティティ、これからどうするんだ?一人なんだろ?行く当てはあるのか?」
「…そんなの無いわ。私達の一族は元々あの山のずっとずっと向こうの土地に住んでたんだけど、寒くなって住めなくなったから、みんなで暖かい土地に移住して来たんだけど…」
…と言ったきりティティはうつむいてエグエグ泣き出してしまった。
アルは言った。
「な…なあ、お前よかったら俺達の村に来ないか?」
「…いいの?」
「ああ、俺達もそんなに暮らしに余裕がある訳じゃないけどな…まあ一人分の食い扶持が増えるぐらい、どうって事ないさ!」
アルは自分の胸をドンと叩く。
その時…

ドオォォーンッ!!!!

とてつもなく大きな音と地響きがした。
近くの山が噴火したのだ。
「見て!!山が火を噴いたわ!!」
「大地が怒ったんだ!うわぁーっ!!俺達の村は山の麓にあるんだーっ!!」
アルは村に向かって全速力で走った。

…村は溶岩に流され跡形も無くなっていた。
「ラナーッ!!チビーッ!!ナノーッ!!」
アルは妻と子供達の名前を叫んだが、当然の如く返事は無かった。
「なんて事だ!!みんな死んでしまった!!火の川に飲み込まれて死んでしまった!!近ごろ生け贄の獣を捧げていなかったから神が怒ったんだ!!」

この時代の人々は自然現象が神々や精霊など超自然的な存在によって引き起こされると考えていたのである。

取り乱すアルを追い付いて来たティティがなだめた。
「落ち着いて!火の川が来る前に逃げたかも知れないわ!」
「そうか!!…でも、だとしたらどこへ…?」
「それは解らないわ…」
「確実に言える事は、今のところ俺もお前も一人ぼっちという事だな…」
「そうね…」

そして日が暮れた。
野生の獣から身を守るため、二人は洞窟で一夜を明かす事にした。
「……」
今、洞窟の中ではティティが一人で焚き火をしている。
溶岩の近くから取って来た火を絶やさないように見ているのだ。

やがて食料調達に出ていたアルが戻って来た。
「ティティ!食い物を穫って来たぞ。コレだけだけど…」
彼が持って来たのは鳥の先祖みたいな動物だった。
「良いわ。私もうお腹ペコペコなの」
「じゃあ食おうぜ」
二人は一羽の鳥を焼いて全部食べてしまった。
明日のために残しておく…という考え方は無かった。
むしろ食える時に食っておく…これがこの時代の人類の一般的な考え方なのである。

「ふぅ…ごちそうさま」
「おそまつさま…ところでティティ、俺は考えたんだ」
「…何を?」
「お前を俺の妻にする!!」
…と言うや否やアルはティティに襲い掛かり地面の上に押し倒した。
「キャーッ!!?な…何するのよ〜っ!?」

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