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“リア充”始めました
官能リレー小説 - その他

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“リア充”始めました 2

だが、本当の地獄は家に帰ってからだった。
「で?・・・何故君たちは家までついて来るのかな?」
終業のチャイムが鳴ると同時に俺は逃げるように教室を後にした。ところが婚約者たちは、そんな俺の後ろに無言で付いて来るのだった。
「決まってるじゃない!!今日から私たちはあんたと一緒に暮らすからよ!!」
赤毛の長髪をツインテールにした美少女(たしか名前は桐生アスカだったと思う〈なにせ最後に会ったのが五歳の時なので名前もうる覚えなのだ〉)
「はあ?何言ってんだお前!?」
「仕方ないでしょ!!あんたのお爺様の命令なんだから!!ご両親にもちゃんと許可はいただいているもの!!」
「俺は一言も聞いてねえ!!」
「生憎とあんたに拒否権は無いのよ!!だいたい私みたいな超絶美少女が、あんたみたいな何の取り柄の無い男のお嫁さんに成って上げようって言うのよ!!泣いて感謝するのが筋ってもんじゃない!!」
アスカはそう言って俺を睨みつける。

「うるせえ!!俺は爺ちゃんと違って、根っからの庶民なの!!金や権力よりも、植物の様な平穏な人生が欲しい男なんだ!!」
そう・・・俺は幼い頃に祖父の激しすぎる愛情表現のせいで、酷い目に合って以来。ただひたすら平穏を愛する男として成長したのだ。
「はあ?何言ってんの?あんた何れ、お爺さんの後を継ぐんでしょ?」
「爺ちゃんが勝手に言ってるダケだ!!俺にその心算は無い!!だからお前らが玉の輿狙いで俺と結婚したいならお門違いだぞ!!」
実際俺は祖父の会社を継ぐ心算は全く無い。
だからこそ高校も祖父の経営するお坊ちゃまお嬢ちゃまが通う名門校では無く、近所の普通の公立高校に通っているのだ。
もっとも、あの祖父が俺に会社を継がせるのを簡単に諦めるハズが無いが。
(まったく爺ちゃんも勝手なんだよな・・・基本良い人なんだけど・・・)
婚約者の事にしても、会社の跡継ぎ問題にしても、その他様々な事件にしても、祖父にしてみれば、全て俺の為を想ってやっている事なのが分かるので、無暗と邪険に出来ないのが逆にもどかしい。
「そう言う分けだからお前らはとっとと帰れ!!」
俺はあえて邪険に言うと家のドアを開けた。
「ただいま〜」
しかし、家の中からは誰の返事も無かった。
(あれ?・・・母さん買い物かな?)
「誰も居ないわよ今日からしばらくの間は、この家はあんたと私たちが使うんだから」
「はあ?」
俺は今日何度目かの?を使った。
「ハイご両親からのお手紙」
アスカはそう言って俺に手紙を差し出した。
《信ちゃんへ・・・お爺様のご招待でパパと一緒に世界旅行に行ってきます。半年ほど戻れないと思いますが、体に気を付けて女の子たちと仲良くお留守番をしていて下さい・・・PSあなたは男の子なんだから、避妊には気を付けるんですよ。もっとも、孫が出来たらパパもママもそれはそれで嬉しいです》
「何を書いとるか!!あの天然エセお嬢様が!!」
俺は手紙をぐしゃぐしゃにするとゴミ箱に勢い良く投げ入れた。
「ハア、ハア、ハア、」
「と・・言う分けでとりあえず半年間よろしく」
「「「「よろしくお願いします信哉さん!!」」」」
こうして男一人と美少女五人による世の男どもが知ったら絞殺されるであろう、俺のハーレム生活が始まった。



その日の夜。

「全くいったい全体どうなってんだ?」
結局なし崩し的に自称フィアンセ(俺は断じて認めて無い!!)である五人の女の子たちも、しばらくの間家で生活する事に成ってしまった。
(ああ・・・俺は某人気コミックの悪役のように、ただ植物のような平穏な人生が欲しいだけなのに、何でこう毎回毎回厄介な事に巻き込まれるんだろう?)
いや・・・原因は実は分かり切ってる。
(まあ爺ちゃんのお節介のせいだな・・・全くフィアンセ五人って何所のギャルゲーだよ本当・・・俺みたいな小市民は、一人でもイッパイイッパイだっつうの・・・)
世の中の大多数の男たちにとって、今の状況は天国だろうが、俺にとってこの状況は地獄に等しい。
(まあ救いは晩飯がすこぶる美味かった事と、精神的に無茶苦茶疲れたせいでグッスリ眠れそうな事だな・・・)
祖父が日本中から選び抜いたと豪語するだけあって、彼女たちの作った料理は、今まで俺が食った事が無い程美味で、ツイツイ食べ過ぎてしまった。
お蔭で俺は今日のドタバタによる精神的な疲れと、満腹感が相まって何時の間にか深い眠りへと落ちていた。

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