侍物語〜サムライストーリー〜 第二部 2
虎太郎以外に達せられた静は、風呂から上がってから罪悪感に見舞われた。
『私は、何て事を・・・・・・・・』
風呂場で達せられた静は、具合が悪いので夕飯は良いと言って部屋に閉じ籠った。
瑞穂と理緒は心配そうに声を掛けてきたが、大丈夫と言って誤魔化した。
静は、棒を見下した。
いま静は白い寝巻姿だ。
裾の部分を退けると、秘所に黒い棒がある。
太く、長く、大きく、凶暴だ。
無理やり抜こうとしても、何本もの線のような物が太腿に張り付いて抜けないようにしている。
「・・・・・・」
静は、自身を達しさせた棒を見下す。
今も黒い線が太腿に絡み付いて離れない。
風呂の時は尻も塞がれたのだが、今は秘所だけを塞いでいる。
今は大人しくしているが、いつ動くか分からない。
とても凶暴な物だ。
「・・・貴方は、何者?」
静は、棒に話し掛けた。
答えが帰って来るなど期待していない。
ただ、話し掛けて少しでも現実を逃避したいだけだ。
『・・・・・・・・』
当然の如くか、棒は喋らない。
静は裾を戻し、布団を被り直した。
もう今は寝よう。
寝てしまえば、それが夢だと思えるからだ。
眼を閉じる前に行燈を消した。
部屋の中は暗い一面に覆われた。
そして眼を閉じて、眠りに着いた。
静が部屋に篭っている間、瑞穂と理緒は二人で食事をしていた。
「母上は大丈夫かな?」
理緒は心配そうに呟いた。
「長い時間、暑い所にいたから目眩がしただけよ」
姉の瑞穂は、妹を安心させるように言った。
しかし内心では静を心配していた。
虎太郎が留守の間、誰よりも悲しいのは静なのだ。
娘二人は母である静の部屋に後で、粥を持って行こうと決めあった。
その静は見た事もない土地にいた。
『ここは・・・・何処?』