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とある村の御祭り
官能リレー小説 - その他

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とある村の御祭り 10

事態が事態だけに河野と浅海の以降の中出しは禁止にされた。
折角の祭りしかも種子に選ばれて2日目というのに余りにも理不尽な決まりだった。
大人達の真剣な顔になにか恐ろしい事態を察したらしい2人は文句も言わなかったが、面白くないに決まっている。
親友である雄助に当たり散らす事も無かったが、露骨に嫌そうな顔になっている。
事態を説明しなかった事がかえって不安や不信感を生みだしていた。

「誰かが消えると分かっているのだから、こんな祭り辞めればいいのでは?」
そんな思いが雄助の頭にはあった。
それに、大人達のうろたえぶりはまるで想定外の出来事に遭遇したかのようで気味が悪い。毎年やっているというのに。
なんだか、色々と胡散臭い。あちらに連れて行かれない対策とやらがあまりにも後手すぎるのだ。
大人達は孕子に説明をしにいったらしいが、あちらでも不信感が溜まるだけの結果になっただろう。
初めての祭りにいきなり変なルールが付け足されたら冷めるに決まっている。
雄助は自分が消える事はそっちのけで冷静に祭りを見ていた。もしかしたらもうあちらの世界からこの村の事を見ているのかもしれない。

衣装を付け終えたが、まだ時間はあった。
大人達は姿が見えない。またも声すら聞こえなくなってきた。
鏡の中の自分を見た時もそうだ、と雄助は思った。あれだけ村に人が居るのにどういうわけか欠落したようにすっと静かになる。
まるでなにかが起こる前兆の様だ…。
奇妙な静けさの中、自分のせいで種子としての出番にケチがついた河野と浅海の事が気になった。
なんと声をかけて良いかわからなかった。出鼻をくじかれて盛り下がったせいで男根も立ちが良くない。
気まずい3人の空気。それが異変によってかき消される。
「……ッ!!」
雄助は覚えのある気配にハッとして振り向いた。
窓の外に神が立っていた。

 ドクンッ……

心臓が高鳴る。
それが昂揚による物なのか、それとも恐怖から来る物なのかは雄助自身にも解らない。

 ドクンッ……ドクンッ……ドクンッ……

鼓動は早くなっていく。
雄助は動けない。
視線を逸らす事が出来なかった。
このまま連れて行かれるのか……。


「……ぉーい、山城。おーい、聞いてんのか?」
「…………はっ!!」
ふと気が付くと河野と浅海が不思議そうに自分の顔を覗き込んでいた。
「どうしたんだよ? 急に窓の外の一点を見つめたまま固まっちゃって……。」
「ひょっとして幽霊でも見たか?」
「……ぁ……いや、何でもないよ……。」
神の姿は二人には見えていなかったようだ。
なぜ今姿を見せたのかは解らない。
だが確かに言える事は一つ。
自分は着実に異なる世界へと足を踏み入れているという事だ。
河野と浅海もおかしなものは感じつつあった。
いきなり雄助以外の中出しを禁止にされ、しかも雄助の様子がおかしい。
雄助になにかあると思うのも当たり前の事だった。
盛り下がるゴタゴタに萎えてしまった2本の物を雄助の屹立に突き合わせるように、3人が密集する。
誰も口を開くことが出来ない。

コンコン!

沈黙を破るように部屋の戸が叩かれる。
「時間です。舞台に上がってください」
女性が三人を呼びに来た。
「…あっ、はい!」
「今いきます!」
女性の声で気持ちが切り変わった二人が返事をする。
「おい、山城ボーっとしてないで行こうぜ」
神妙そうな表情のままの雄助に、河野は声を掛ける。
「なに悩んでるのか知らないけど一発抜けば気も晴れるって!」
浅海は雄助の背を押すと扉を開け外に出た。

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