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とある村の御祭り
官能リレー小説 - その他

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とある村の御祭り 8


では、ここにいる自分は何だ?
村から消えた、今は鏡の中の自分……その自分を、こうして眺めている自分。
どちらかが本物で、もう一方はおそらくは影のような物……いや、違う。
どちらも本物で、どちらも影なのだ。

雄助は知っている。
幼い頃、村の年寄りから聞いた事がある。
毎年、祭が終わると村の人口が一人、減っている。
では誰がいなくなったのかというと……それが分からない。
分からないが、確かに一人が消えている。
毎年、毎年、祭の度に誰かが消える。
消える……というのとは少し違うかも知れない。
最初からいなかった事に……この世に存在していなかった事にされてしまうのだ。
その人に関する記憶も、全て村の人達の中から消えてしまう。
その人の家族さえ、その人がいた事を忘れてしまう。
この世に存在した痕跡を何一つ残す事なく消える。
ただ、人が一人減ったという事実だけを残して……。
そんな時は、神が連れて行ったのだ……と年寄り達は言う。
祭の間は非日常。
祭の間、村は、この世とは異なる世界……神の世界と繋がると言われている。
普段は、すぐ近くに存在していながらも、決して交わる事の無い人の世界と神の世界が、祭の間だけ、繋がる……。
だから消えた者は、神への生け贄になったのだ……と、村人達は考えている。
この話を聞いた時、幼い雄助は心の底から恐怖した。
だが大きくなるにつれて、よくある類の怪談や伝説だと思うようになった。
だが、それは事実だった。
そして今年の生け贄に選ばれたのは、他ならぬ自分だったのだ。

雄助は、まだ鏡の中を見つめている。
目を離す事など出来ない。
鏡の中の雄助の男根を握った黒い手の主の姿が見えた。
黒い手と見えたのは、実は影が差していたためで、良く良く見てみると、白く、しなやかな手だった。
それは、美しい……この世の者とは思えぬほど美しい女だった。
容姿だけではない。
艶やかな黒髪に、肉付きの良い肢体……全て魅力的だった。
(あれが……神様……。)
こちらと、あちら、二人の雄助の、ビンビンに勃起した男根が、ピクッピクッと反応した。
自分が責められている姿を外から見るというのは妙に興奮させられる。
生け贄にされたもう1人の自分や女を見ながら男根を握り締めてしまう。
自分が生け贄にされた揚句2人に増えてしまったというのに、雄助はすっかり魅入られていた。
既に鏡の中の二人は絡み合い始めていた。
女は雄助を仰向けに寝かせ、その上にまたがって腰を振っている。
時おり身を屈めて口付けをした。
声は伝わって来ないが二人とも気持ちよさそうに喘いでいるのが見ていて分かる。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……。」
その様子を鏡の外から見ながら雄助は、気付けば必死に己の男根をしごいていた。
あるいは雄助は自らの上で豊満な乳房を揺らしながら喘ぐ女…神を見上げていた。
二人の雄助の感覚は共感されていた。
神と絡み合う自分……それを鏡の外から見てセンズリをかいている自分……雄助はもうどちらが自分なのか分からなくなっている。
二人の雄助の境が曖昧になっていく。
そして……。
「あ……あぁ……。」
雄助がまさに絶頂を迎えようとした……その時だった。

「やめい!!雄助ぇ!!」

突然、男の声が響いて衝撃が走った。
雄助はハッと正気に戻る。
見ると神社のオジサンが血相を変えて自分の顔を覗き込んでいた。
頬がジンジン痛む。
どうやら平手打ちされたらしい。
「雄助、お前いま何しとった? ワシにはお前が御神体の鏡を見て一人でセンズリをかいていたように見えたが……お前いま何を見ていたんだ? あった事を全部話せ。」
雄助は正直に話した。
「……ほうかぁ、神さんは今年の贄に、お前を選んだんじゃなぁ……。」
「おじさん、僕どうなるの? 神様の国に連れて行かれちゃうの?」
不安げに尋ねる雄助に神主のオジサンは言った。
「まだそうと決まった訳ではない。とりあえず、お前の父ちゃんと母ちゃんを呼んで来い。」
「わ…分かった!」

しばらくして、神社に雄助の両親と、村の長老連中が顔を揃えた。
「一体何の用だね、神主さん。」
神主は言った。
「実はのう、雄助が神さんとまぐわった。」
それを聞いた皆は驚いた。
「何と……。」
「今年は雄助じゃったか。」
神との交合が贄に選ばれた証である事を村人達は知っていた。
「そんな……嫌よ!どうして雄ちゃんが……!?」
「おい!落ち着け、お前。」
雄助の母は取り乱し、それを父が宥める。

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