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独裁者の後宮
官能リレー小説 - その他

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独裁者の後宮 14

特に軍を統括するアナスタシア・カルロス国防大臣と産業界トップのジェスティーナ・カルロス中央銀行総裁の争いは熾烈となった。
元々が相反するセクションの長である2人である。
同じくホセの妻であってもそもそも仲が良くない上に、立場も違いすぎる。
アナスタシアは卓抜した軍事的才能を持ち、他国からの侵略や国内のゲリラ掃討で国を守ってきた自負があるし、ジェスティーナは豊富な国内資源を武器に国家を破綻させずやりくりしてきた自負がある。
そして、アナスタシアは軍事的才能は天才の域でも政治経済の関しては全く無能と言ってよく、ジェスティーナの軍事は全く無理解であった。
そのお互いの専門知識の欠如が余計に互いを認めない事に繋がってしまっていたのだ。
普段であれば軍事経済どちらも高い知識を持ち、政治力、外効力に優れたメイリアが絶妙なバランサーとして首相の地位にいたが、彼女が表に出なくなった為にその争いは激化してしまったのだ。

そして、数ヵ月後・・・
アナスタシアは要塞のような国防司令部に主だった将軍を集めていた。

国防大臣アナスタシアとその妹でホセの妻だったアネットとニーナ。
アネットは陸軍総監、ニーナは空軍総監と言う陸空のトップである。
そして、海軍総監のアルバート・ソリスはアナスタシアの実弟。
アナスタシアと妹達はホセとの間に数多くの娘を設けており、その娘達を軍の主要な将官に嫁がせたり、親類を大量登用して軍を自分のソリス一族で固めてきた。
「もうこれ以上あの金満女をのさぼらせておけないわ!・・・ここは軍が政治を統制するしかないわよ!!」
金満女とはジェスティーナの事である。
「でも姉さん・・・いくら軍を我々が掌握してるとは言えジェスティーナはやり手だし、大統領閣下の言動一つで我々が不利になる事もありえるよ」
アルバートが言うようにジェスティーナは裏工作が得意で、こうなって早速警察、諜報部門を掌握しメイリアの後釜になるべく動いていた。
そして軍もカルロス家に対する絶対的な忠誠心を叩き込まれてる為に、ジョンをジェスティーナが押さえてしまうと動揺で動けなくなってしまう。
その上、諜報部と武装警察を敵に回すと首都の掌握も難しい。
頭は良いが政略の苦手なアナスタシアはそう言う意味では出遅れ気味なのであった。
「大統領閣下を危険な目に合わせられないわ・・・何とかして助ける大義名分が欲しいわね」
アナスタシアはジョンを嫌っていない。
アネットやニーナも同様だが、ホセの妻達はジョンを溺愛している。
メイリアがああなってしまっても何か納得するものがあるぐらいであった。
「そうしなければ軍の縮小の急先鋒はジェスティーナ一派だから、私達には不利よね」
「ええ、あの女は昔から大統領閣下のお気に召す女を連れてきて歓心を買っていたわね・・・首相がああなったのもその差し金とも考えられるわ」
アネットやニーナもそう言う通り、軍部では何かの陰謀事はジェスティーナ絡みで語られる事が多い。

「…一つだけ確実に言える事は…」
姉妹達の会話を聞いていたアルバートが少し間を置いてから口を開いた。
「…ここで顔を突き合わせて話し合いばかり続けていても何の解決にもならないって事だ」
「アルバートの言う通りだわ!」
それにアナスタシアが賛同した。
「ゴタゴタ考えるよりも、とにかく行動よ!この国は今、破滅へと向かっている…!それを正せるのは私達軍の力をもってして以外には無い!先代大統領ホセ・カルロス閣下が悪しき旧王政を打ち倒した時のように、もう一度やるのよ!」
喋りながら次第に興奮して来たアナスタシアは終いには立ち上がって拳を振り回して机を勢い良く叩いた。
「そうね!姉さん」
「この国に今必要なのは軍の力だわ!」
「そうだ、そうだ」
「我々がやらずして誰がやるのだ」
「今こそ軍の存在を示せ」
アネットとニーナも賛同し、他の将軍達も同調する。
「では、具体的な計画について話し合っていきましょうか…」
アナスタシアは改めて全員の顔を見渡して言った。事態は大変な方向へと転がり始めた…。

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