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侍物語〜サムライストーリー〜
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侍物語〜サムライストーリー〜 2

「危ないところを助けていただきありがとうございました。」
「拙者、秋月虎太郎と申す。・・・もしよければ家まで送るでござるよ。またやつみたいな輩が現れるかも知れぬ。」
「申し遅れました、理緒ともうします。申し出はありがたいのですが・・・」
「拙者のことなら心配要らぬ。」
「・・・では、お礼にうちで一休みしていってください。」
「礼など無用・・・といいたいところだが、宿場がどこにあるか教えては下さらんか?」
「でしたらうちへ泊まっていってください!」
「それこそまずいでござるよ。拙者のようなものを泊めるなどそなたの父上に止められるのが関の山でござる。」

話し合いの末、意外と頑固な少女に説得され、その子の長屋へ向かった。

「おかえり、お姉さま!」
理緒がただいま、と戸を開けると満面の笑みで妹と思われる少女が飛びついてきた。
「おかえりなさい」
流しには米を研いでいる母親と思われる女性が、囲炉裏には、理緒と同じもしくは少し上くらいの女の子が可愛らしい笑顔でこちらを見た。しかし、母親は明らかに警戒している。母親が口を開く前に理緒がことの次第を説明する。


「娘が大変お世話になりました。私、この子らの母の静と申します。汚いところではありますが、今夜はここが自分の住処と思ってくつろいで下さいまし。」
さっきまでの厳しい表情から一変して、すべてを包み込むかのようなやわらかい微笑みを湛えている。
姉妹も今では好奇心の眼で虎太郎を見ている。というか、穴が開くほど見つめている。
「あなたたちも名前を・・・」と静が促す。
「長女の瑞樹と申します。虎太郎様、妹のこと・・・本当にありがとうございました。」
言いながら礼儀正しく頭を下げた。
「珠美です!お兄ちゃん、ありがと!」
明るい笑顔で言うが、静に「これ!」と叱られた。
「どのように呼んでくれてもいいででござるよ。」
というと、珠美はうれしそうにしていた。

大勢で囲炉裏を囲むのは久しぶりだった。ふらふら旅をしていたため最近は野宿しかしていない。木の実や山菜ばかりだったので、夕食に魚がでたのはうれしかった。


「お兄ちゃんって何をしている人なの?」
珠美は目をキラキラさせながら尋ねてくる。
「これ!珠美。何を聞いてるの!」
「だって〜」
「別にかまわないでごさるよ?珠美殿でごさったな、拙者は自分の気が向くままに旅をしているんでこざるよ。それでいつか・・・」
「いつか?」
「いつか新選組の用に江戸や京の治安を守って誰でも安心して暮らせる国を作る手伝いをしたいと思ってるでござる。」
「それにしても・・・さっきの輩もずいぶんな振る舞いでござったな。」
「今の江戸は・・・あのような不逞浪士が街中を闊歩しており、少しでも気にさわれば・・・」
「そうなんだよ!この間も瑞樹お姉さま危なくさらわれるところだったんですもの。」
「まだ、誰も襲われてはいなのが・・不幸中の幸いです。」
(たしかにここの者たちはみな顔立ちもよい。狙われない方が不思議というものか。)
虎太郎が食後の茶をすする。
と理緒が
「どうかなさったんですか?」
と聞いてきた。知らぬ間に険しい顔をしていたらしい。
「なんでもないでござるよ。」
笑いながら言う。しかし、ここの静たちが毒牙にかけられるのを見過ごしたくは無い。
暴力に苦しむ人たちを守りたくて・・・死ぬ気で修行を重ねたのだから。


「そろそろ湯も沸いたころだと思います。ささやかではありますが、お背中お流しいたします。」
立ち上がろうとした静を制し、代わりに理緒立ちあがる。
「私が助けてもらったんですから私がお流しします。」
全員が異を唱える様子は無い。やはり理緒は言い出したら言葉をあまり曲げる性格ではないらしい。
・・・もはや、選択の余地は無かった。

「お、お願いするでござる」

風呂は結構広かった。この長屋は二階建でそれぞれに風呂がついているという豪華なものだった。

「さ、こちらへ♪」
薄着をした理緒が手招きしてくる。
「…でるとこでてるでござるな」
「何かおっしゃいました?」
「な、なんでもないでござる!」
思わず呟いてしまったが、聞こえてなかったみたいだ。
気の椅子に座り、背を向ける。いつも親や姉妹のを洗っているのか、力加減が絶妙だ。背中、首筋、腕まで洗ってくれた。

「次は前ですね〜、こっち向いてください♪」
声を弾ませて言ってくる。

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