PiPi's World 投稿小説

不知火家メイド隊
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 52
 54
の最後へ

不知火家メイド隊 54

「では、これより今週の朝礼を始めさせてもらいます」
校庭に集められた数百人の視線が、一人の少女に集中していた。
野暮ったいメガネをかけていても隠すことは出来ない美しくクールな顔立ちの生徒会長は、シャギーの入った漆黒の長髪を風になびかせながら、聞くだけで身が引き締まるような凛とした声で、壇上から校庭の生徒全員に語りかける。
「ゴールデンウィークが終わり、いよいよ本格的な学園生活がスタートします。また、再来週には学校での最初のイベントである体育祭が行われます。勉学だけではなく、こういったイベントでの思い出作りも、私達学生にとって大切な事です。生徒諸君には、参加した生徒達全員が大人になって学生時代の良い思い出と思えるような体育祭に出来るよう。私達生徒会メンバーと共に努力して欲しい」
(こうして見るとカッコイイよな聖は・・・)
恭介は学校の校庭で他の生徒達と一緒にそんな生徒会長を見つめていた。
「なあオイ恭介!やっぱり青崎会長は美人だよな!今度紹介してくれよ!!」
恭介の横では彼の親友である柴田卓也が、壇上の生徒会長を憧れの視線を向けながら、恭介を拝むような仕草をする。
「・・・相変わらず気の多いヤツだな・・・お前確か保健室の清川先生狙いじゃなかったけ?」
「バーカ!俺は美しい女性は皆大好きなのさ!美人を見たらとりあえずお知り合いに成りたいって思うのは、健全な男の本能なの!・・・まあ、シェイラちゃんや舞葉ちゃんみたいな美少女の幼馴染が居るお前には解らないかも知れないがな・・・おまけに青崎会長にまで妙に気に入られやがって、クソ!このリア中め!」
そう言うと柴田は冗談半分に恭介の頭に腕を回すと、彼の頭にヘッドロックを掛ける。
「い、痛い!痛いって!もう!ギブギブギブ!!」
恭介は柴田の二の腕を叩きタップする。
「ええい!まだまだ!モテナイ男の怒りを思いしれ!!」
生徒会長が立っている壇上からは、その様子は丸見えだった。
「こら!そこの二人!じゃれ合ってないでちゃんと集会に集中しなさい!!」
「「は、ハイ!すいませんでした!!」」
ドッ!!
壇上から説教を食らった恭介と柴田は、思わずといった様子で直立不動の姿勢を取る。
その驚愕の表情に周りの生徒達からは笑いが巻き起こる。
(ア〜ァ・・・柴ケンのせいでとんだ恥かいちゃった・・・集会早く終わらないかな・・・)
内心そう呟きながら、恭介は取り繕った真面目そうな表情を浮かべ立像のように立ち尽くす。
残念ながら生徒集会はまだまだ始まったバカリだった。


「失礼します!」
「ああ・・・不知火君か、良く来てくれたね」
「ハイ会長!今日は何の御用でしょうか?」
その日の放課後恭介は生徒会長である青崎 聖に生徒会室に呼び出された。
「ふふふ・・・そんなに硬くならないでいい。皆、悪いけど不知火君と2人きりで話がしたいの・・・少しの間外してちょうだい」
「「「ハイ!会長」」」
生徒会長の命令で生徒会のメンバー達は次々に席を立ち部屋の外へと出て行く。
「それで会長。僕を呼び出したのは何の御用でしょうか?」
生徒会長はその問いを無視するように生徒会長のデスクから立ち上がると、無言で恭介の横を通り過ぎドアの鍵をカチャと掛ける。
「恭介様。2人きりの時は私を呼び捨てにして下さいとお願いしていたハズですが?」
「全く君も強情だね聖。こういうのは普段から慣れておかないと、何時ボロが出るか解らないだろう?」
2人きりに成った瞬間生徒会長の口調は、まるで恭介の方が目上であるかのように一変した。
「何をおっしゃいますか!・・・聖は恭介様に絶対の忠誠をお捧げした不知火家メイド隊のメイド!本来ならご主人様と対等な口を利くなど許されません!恭介様のご命令なればこそ不本意ながら演じているのです!他人の目が在る状況ならともかく、2人きりの時に恭介様と対等以上の立場で話すなど考えられません!!」
「ハァ〜」
クソ真面目も過ぎれば欠点になるという事か。
恭介はクールな印象とは真逆な生徒会長の熱い忠誠の言葉に思わず溜息を吐いたのだった。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す