幼なじみ 10
だけどヒロの影は、私の心から消えてくれなかった。
「亮くんジェットコースターダメなんだね」
「ごめんね…久しぶりだったから酔ったみたいだ…」
ベンチに力なく座る亮くんの額に、水で濡らしたハンカチを当ててあげる。
ありがとう、と言ってくれたけどあとは、う〜って唸ってばかり。
無理させちゃったかな…?
私がキャーキャー言ってる横で亮くんは青ざめてたに違いない。
ダメな彼女だわ……。
ヒロはジェットコースターでもなんでも大丈夫だったなぁ。遊園地のジェットコースター全部制覇する!とか言って、最後には2人で気持ち悪くなっちゃたっけ。
なに…
なに考えてるのよ!!
最低。隣で「彼氏」が弱ってるのに、違う人のこと考えてるなんて…。
最低だな…私。
なんでヒロの事ばっか思い出しちゃうんだろう……。
いつもより早く起きちまった。
休みの日は昼まで寝てるっつーのに。
……愛香なにしてるんだろ。
「はぁ…」
今日何回目か分からないため息がもれた。
亮くんを休ませてあげたい。でも場所が…
愛香は亮を休ませようと考えたあげく。。。
ねぇ亮くん。あのさ、家に来ない?今日近いうちに逢わせておきたいと思ってたし。
いいの?愛香ちゃん?
いいよ☆それに酔った亮君休ませてあげたいし。
じゃあお言葉に甘えて行きますか?
こうして愛香と亮は愛香の家へ歩き出した。
家が見えてきた頃、運悪くヒロに出くわしてしまった。
「あっ・・」
ぎこちない二人。
亮も、異様な雰囲気に気付いたのか、「誰?」と切り出した。
「あ・・うん。ただの幼なじみ。松田寛志ってゆうの。」
言葉を選ぶ表情。
「幼なじみ…?ふーん。あ!僕は高山亮。よろしく。」
威嚇に似た手をスッと差し出した。
「別によろしくするつもりねぇけど?」とヒロが亮を睨む。
(やばい…?この雰囲気)
「ん゙〜もぅ!バカヒロ!・・行こっ」
手を引っ張り、先導する愛香。この時亮は悟ってしまった。この二人に何かあったことを
「…ここが私の家。あれ?お母さんいないや。ま、夕方には帰ってくるから★あがって?」といって亮を自分の部屋へ通した。
「適当に座っててね。紅茶がいぃ?コーヒーがいぃ?気分悪いならお茶の方がいっか?」「ん〜そだね。お茶がいいな。」
「りょ〜かいッ!」
愛香が扉を閉めると、部屋を見渡した。
「女の子って感じ。」ピンクに統一されていて可愛い部屋。
ベットにもたれながら座ると真っすぐ見たところにテレビがあった。「ん?」
テレビ台に乗っている人形の間に写真たてが置いてあった。
「これ・・あいつじゃん。」