幼なじみ 57
優しく頭を撫でてきた。
「でも…はっきり何もない!!俺は愛香が大切だって気付いたんだ。失いたくないって…。大切な人を裏切る真似はしない。」
静かだがしっかりとした声だった。
愛香は泣きじゃくりながらヒロを見た。
しっかり愛香の瞳を見つめてくる。
ヒロは卑怯なことをしたり嘘は言わない…。
愛香はヒロの気持ちを悟った。ヒロは嘘は言ってない…。
「グス…う…ん…信じる。でも…すごくすごく不安で…ふぇっ…ヒロはモテるから…私な…んか…いらないんじゃないかって…ヒック…」
「ばっか!俺は愛香がいれば何もいらない…。愛香が大切で大切で…手放したくない…。俺の気持ち伝わらない?」
ふるふると首をふる。
「俺が見てるのは愛香だけ…俺が大切なのも愛香だけ…俺が欲情するのも愛香だけ…」
じっとヒロの目を見つめていた愛香だが最後の言葉に顔を赤くして俯いた。
愛香も少し落ち着いて泣きやんだ。
相変わらずヒロにしがみついているが…。
ふとそのヒロにしがみついた愛香の腕がぎゅっとヒロを抱き締めた。
「ね…ヒロ…ギュってして?」
涙をためた瞳で上目遣いに見つめてきた。
『やべえ…可愛すぎるっ…』
ヒロはぎゅうっと愛香を抱き締めた。
愛香はヒロに抱き締められたことで落ち着いたようだ。
「ねぇ…ヒロ……ヒロは私のどこが好きなの?」
「う〜ん…真っ直ぐなとことかしっかりしてるけど泣き虫なとことか…笑顔とか…すべて…かな」ちょっと照れくさいのかヒロは愛香の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
「ふ〜ん…私みたいな子なんて平凡なのに…。私より綺麗な子沢山いるでしょ?」
「ばっか!お前結構モテるんだぞっ!!」
そう言ってヒロは顔をしかめた。
でもわからないものは仕方ないよね。
「お前が周りみてないだけだろ…。ったく鈍感め…。俺は幼馴染みだから何度となく相談もちかけられたんだぞ!」
「ヒロは幼馴染みとしてしか私のこと見てないと思ったけど…いつから…その…好きになったの?」
顔を赤くして聞いてきた愛香が愛しくてヒロはまたぎゅうっと抱き締めた。
「ヒロ…」