幼なじみ 53
買い物からの帰りらしい亮くんは驚いた表情で私を見る。
「愛香ちゃん!……何があったの!!」
「……っ……亮……くん」
胸が詰まって言葉が出ない。
もう止まらなかった……私は亮くんにしがみつくと号泣してしまったのだ。
十数分後……
亮くんの部屋でコーヒーを淹れてもらい落ち着いた私を、亮くんは何時もと変わらない優しい表情で私を見ていた。
「まだ僕は……愛香ちゃんの事大好きだから……」
私の事を何も聞かず、亮くんは微笑む。
「愛香ちゃんの選択は全て受け入れるよ……それで僕を選んでくれないとしても……だから、とことん信じてみれば?……信じて、信じて、信じられなくなるまで……僕は、ずうっーと待ってるから」
亮くん……
私が一方的にフッたのに……
あの時も、私を責めなかった……
今だって、恋敵のヒロを信じろって言う……
私は、亮くんが私を想ってくれる程に……私はヒロを想えるだろうか……
でもヒロのことを一番よく知ってる…。
ヒロは漫画を返さなかったりだらしないところもあるけど嘘はつかない…。
ヒロに事情を聞いてみよう…。
悩んでたってはじまらないよね。
―――
俺はゆかりの言葉に驚いたが、きちんとゆかりを見つめきっぱりと拒否した。
「俺は遊べる女なんていらない…俺はやっとあいつが本当に大切だって気付いたんだ…だからあいつを裏切るようなことは絶対しない…」
俺は自分の気持ちをゆかりにきちんと伝えもう帰らせようと腕を引っ張った。
「ふ〜ん…裏切るようなことはしないんだ…。じゃあさっきのキスはどう説明するの?裏切りじゃないの?」そういうとゆかりは今までみたことないような蔑むような目で俺をみた。
「あれはっ…お前がいきなりしてきただけだろっ!」
「でも彼女に話したらどう思うかしらね。ふふっ♪」ゆかりが気持ち悪くほほ笑む。
「ゆかりっ!おまっ…何を考え…あいつを泣かせるようなことをしたら許さねえからなっ」俺は拳を握りしめた。
するとゆかりはさっきとはうって代わり憎悪の目で俺をみた。
「ひろしがいけないのよ…。私はひろしを手に入れられるならどう思われたっていい!」
そう言うとゆかりはいきなり俺を押し倒しキスしてきた。
しかも…