幼なじみ 51
俺はまんまとゆかりの企みにはまった…
―――
幸い家には誰もいなかった。いや、逆にいた方が良かったのかもしれない…
「お邪魔しま〜す♪」
「てかお前あがるのかよっ!帰れよっ!家連れてけば諦めるって言ったろ!」
そんなことは聞く耳持たずにゆかりは一直線に俺の部屋へ向かった。俺も慌てて後を追う。
「ひろしの部屋変わったね〜」
ゆかりは勝手にドアをあけ部屋の中に入るとベッドに腰かけた。
「お前なぁっ!いい加減にしろよっ!」
「久しぶりだからいいじゃん。ひろしも座ったら?」
ゆかりのやつ俺の部屋なのに俺以上にくつろいでるよ…。なんなんだ全く。
「お前帰れよ。もういいだろっ。」
ゆかりの手をひっぱりベッドから立たせ追い出そうとしたその時…力が入っていなかったからか、逆にゆかりに腕をひっぱられた。
バランスを崩しベッドに倒れ込む。
ゆかりの上に覆いかぶさる形になってしまった……
この状況はやばい…そのつもりがなくても誰が見ても誤解する。
ぱっとベッドから起き上がろうとしたがその前にゆかりが首に腕を回してきた。
ゆかりとの顔の距離が近く俺は動けずに固まってしまった…。
「なんでそんなに邪魔にするのよ」俺の下で上目使いで目をうるうるさせている。
はぁぁぁ〜…溜め息がでる…
この状況誰かどうにかしてくれ。
「だから言ったろ!俺は他の女には興味はない!……っ?!」
俺が言い終わったと同時に…ふいに唇を塞がれた。
俺は驚いてゆかりから離れた。
「私…ひろしになら遊ばれてもいいな…」
ゆかりが少し悲しそうにだけど笑顔で言った。
「ばっ……」
俺はいきなりのことで思考が働かない。
この時が何がなんだか…
俺はこの状況を愛香が見ていたなんて気がつかなかった。
―――
ヒロとは昔からの付き合いだし信じてるから待ってようと思ったけど…。
やっぱり心配…。
しかもあのゆかりっていう子…女の勘で気になる…
何か企んでそう…
ああ〜!もうっ!
こんな嫉妬心嫌っ!
でも考えちゃうんだよね…。
色々思いをめぐらせぼ〜っとヒロの部屋を見ると…
え…?
なんで…?
頭が真っ白になって…わけがわからない…。
どうしてあの子がヒロの部屋にいるの?
心臓の音が大きくて周りの音が聞こえない…
状況が読み込めない…
夢だと思いたいけど現実で…
見たくないけど目はしっかりヒロの部屋をとらえる。
…やっぱり間違いじゃない。
あの子ヒロの部屋にいるんだ…。
一瞬…本当に一瞬だけどあの子と目があった気がした…
あの子の姿はとらえたけど、よく姿が見えなくて思わずベランダに出てしまった…。ほとんど無意識の行動。
後で考えるとのぞきそのものだけど。
もう不安で不安で…。
目をこらしてヒロの部屋の中をみた。