幼なじみ 31
努めて明るく言ったけど不自然じゃなかったかな?
その言葉には答えずヒロが謝ってきた。
「さっきはごめん…」
「え?なんで謝るの?ヒロなんかした?」明るく言うと愛香の目を捕らえてヒロが言った。
「さっきお前には関係ないなんてきつく言ったから…。お前泣いてただろ?目腫れてる…」
「まぁ、確かに関係ないもんね!てか泣いて…ない…よ?」
なんだか言いながら涙が出てきた…。でも涙がこぼれないように必死にこらえる。
「愛香…さっきの女は…」
「言い訳しなくていいよ〜♪この間ヒロが言ったこと冗談だってわかってるし。でも良かっ…た…ね」言い終わらないうちに涙が頬を伝う。
そんな姿を見られたくなくて机に向かって勉強するふりをする。
「愛香聞けよっ!」 「ごめん…勉強…あるから出てってくれる?」もう涙が止まらない…だめだ…気持ちが不安定。
「愛香こっち向けよっ」ヒロに強引に引き寄せられた。
「ちゃんと俺の目をみて話を聞いて?」
ヒロの目を見るのが怖くて愛香はうつむいたまま…。
『愛香…なんで泣くんだよ…』
ヒロはたまらなくなりうつむいたままの愛香を優しく抱き締め言った。
「愛香に誤解されてるのは嫌だから…。今日うちに来た女の子はつい最近俺の親友と付き合い始めた女の子…。親友の誕生日祝いをしたいっていうんで話を聞いてたんだ。」
「そうなの?」
「そうなの。」
「じゃあなんでお前には関係…ヒック…ない…って…。ヒロ…冷たくて目もみてくれ…な…くて…っ」また涙が出てきた。
「ごめん。ちょっと意地悪…。」
優しくヒロが頭を撫でる。
とても心地よい。
「この間…愛香のこと好きだって言ったのは嘘じゃない。気付くのが遅すぎたけど…。今も好きだ。」
ヒロに抱き締められたまま、びっくりして顔をあげる。ヒロの真剣な目…そらせない。
「ヒロ…私…」愛香が何か言おうとしたその時…
ヒロの唇が優しく愛香の唇をふさいだ。
今までにはない愛おしむような優しいキス…。
「あ…」唇を離すとヒロが愛香をきつく抱き締め再度唇を合わせてきた。
今度は相手を求めるような激しいキス…。
ヒロの舌が入ってくる。
愛香は抵抗せずにそれを受け入れた…。
ピチャ…クチュ…
舌を絡めあう音が部屋に響く。
体がとろけてしまいそうなキスだった…。
「愛香…好きだ…」
ヒロが耳元で優しく囁いた。低くて心地よいヒロの声。
その言葉に「私も好き…」愛香はそう答えていた。
え?私…ヒロが好き?