幼なじみ 30
「え…私…?」
考えもしなかった…。だって私には亮っていう優しい彼氏もいて幸せで…。今までだってヒロのことなんか…。
私の様子をみて亜希が口を開いた。
「愛香も本当の自分の気持ちに気付いていないんじゃないの?」「本当の気持ち?」「そう…ヒロを好きだって言う…」
「そんなことないっ!」愛香は力いっぱい否定した。「じゃあさっきヒロが女の子といた姿をみてどうして泣きそうな顔したの?辛かったんじゃないの?」
確かに辛かった。胸が締め付けられた…。ヒロは私のこと好きだって言ったけど…嘘だったの?
愛香の目から涙がこぼれた。そんな愛香をみて亜希は優しくほほ笑んだ。
「自分で気付いてないみたいだけど…愛香はヒロのことが好きなのよ。」私がヒロを好き?そんなことない…今まで幼なじみとして隣りにいるのが当たり前だと思っていただけ。だってあんな酷いことされたんだもの…。好きなわけない…。
でも…苦しい。ヒロが…他の女の子といるなんて…。あの場所は自分だと思ってたのに…。
「よしよし。まだ気持ちの整理がつかないのね。でも、いつでも私は愛香味方だから相談のるからね。」優しい亜希の言葉に少し落ち着いた…。
亜希と別れ一人で家に帰る時もヒロのことばかり考えてた。
ぼ〜っと歩いてて気付くとすでに家の前。
その時…隣りの家から女の子が出てきた。私の心臓はドキドキして破裂しそう…。ヒロの彼女…?
その後からヒロが顔をだし、女の子ににこやかに手をふっていた。
女の子が見えなくなるまで門の前に出ていたヒロに思わず聞いた。
「ひ…ヒロの彼女?」
「お前には関係ねーだろ」ヒロから出てきた言葉は冷たく、ヒロは私をみてくれなかった。
「そうだよねっ。関係ないよねっ。あはっ何聞いてんだろ…」
自然と涙が出てきて急いで家に入ると自分の部屋までかけ上がった。
部屋からはヒロの部屋が見えるから急いでカーテンをしめてベッドに突っ伏して泣きじゃくった。
なんでこんなに涙が出るんだろう…。ヒロに彼女ができたから?ヒロに冷たくされたから?
もう自分の気持ちがわからない!なんでヒロのことでこんなに悩まなくちゃいけないの?
どのくらい泣いたんだろう…。
窓をコンコンする音に気付きカーテンをあけると…そこには心配そうなヒロの姿があった。
泣いていたのを悟られたくなくてわざと目をそらして明るく話す。「何よ?ベランダ伝ってくるなんて珍しいね!」「ちょっと愛香に謝りたくて…部屋入れて?」
窓を開けるとヒロが入ってきた。しばらく二人は何を話したらいいかわからず…無言が続いた。その状況に耐えられずに愛香が口を開く。
「彼女可愛いね!なんか…今日一緒に歩いてるとこも見ちゃったよ〜♪」