幼なじみ 28
「なあに?」くりくりした目で聞いてくる。「あ…うん。ちょっとまだ勉強で聞きたいことがあって…」咄嗟にでた言い訳。そんなんあるわけない。まだ愛香と一緒に居たかった。
「いいよ〜!じゃあヒロの部屋行っていい?」あのことがあってから俺の部屋に来ることなんてなかったけど、今までの幼なじみに戻れた証拠かな。
ヒロの部屋に入るとヒロはお茶を用意してきてくれた。『久しぶりだな〜ヒロの部屋』じろじろと見ちゃった。
そういえば昔は毎日のように来てたっけ…。ちょっと嬉しくなってにやにやしちゃった。
「お前何にやにやしてんだよ」ヒロが顔をしかめて聞いてきた。「懐かしいな〜と思ってね♪」「そうだな〜。昔はよく家を行き来してたもんな…」
ふと机の上を見ると昔撮った二人の写真があった。愛香は思わず机にかけより写真たてを手にとった。
「きゃ〜!懐かしいっ!ヒロちっちゃ〜い…ヒロ泣き虫だったよね〜。いつもケンカして勝つのは私」
無邪気にはしゃぐ愛香にヒロはたまらなくなり…後ろから抱き締めた。
「ひ…ヒロ?」愛香の体が硬直するのがわかる。「俺…愛香にあんなことをして…今更だけどすごく後悔した。また…前みたく一緒に遊んだり部屋行き来したり他愛ない話で笑ったり元の幼なじみに戻れるかな……なんて無理だよな。ごめんな」
すっと愛香からヒロが離れた。ヒロを見ると今までそんな顔はみたことないくらい悲しい顔で…愛香は胸が切なくなった。
「ごめんな。勉強でききたいことあるなんて嘘。お前と少しでも一緒に居たかっただけなんだ。」いつもケンカ腰なヒロからそんな言葉が出てくるなんて思わず愛香は何も言えなかった。
「俺…愛香が好きだ…。」びっくりして愛香はヒロをみた。ヒロは愛香から目をそらさずに続けた。「お前に嫌われちまって会えない時間がすごく辛くて…前みたく幼なじみに戻れるならって思ったけど…。お前彼氏いるしそれももう無理かもな。」
ヒロが私を好き?幼なじみをやめる?愛香はいつどうに自分の部屋に戻ったかもわからないくらい混乱していた。