幼なじみ 27
「ここは?」
「だから!この公式使うんだって!」
「はぁ?なんでだよ」
「なんでも何もこういう式なの!亜希〜助けてぇ」
「あたし本読んでるからやだ」
3年近くブランクがあるヒロに一から説明するのは根気のいる作業だわ……
「なぁ休憩にしねぇ?」
「あ、もう一時間たったね、じゃあ休憩」
「おっし!ちょっと俺ジュース飲んでくるわ」
大きく伸びて歩いていくヒロを横目で追う。
私のほうが熱中してたみたいね。
『愛香と一緒にいたくて、勉強をみてくれなんて言ったけど…。やっぱり辛いな…』
そんなことを考えてヒロがジュースを飲んでいると亜希がやってきた。
「どうしてまた急に勉強しようなんて思ったの?」
亜希は鋭いこと聞いてくるな〜…。答えにつまっていると「ヒロは愛香のこと好きなんでしょ?」とにやにやしながら亜希が聞いてきた。
やべえ。ばれてた?そんな分かりやすいか?俺の行動…。
答えにつまっていると亜希が「私は亮は優しくていい人だとは思うけど愛香にはヒロがお似合いだと思うんだけどねぇ。」なんて言ってきた。
お似合い?そ…そうか?嬉しいぞ。一人にやにやしていると愛香もやってきた。「二人で何話してたの?ヒロにやにやしてるし」
「亮くんとラブラブな愛香には教えてあげな〜い」亜希が意地悪な笑みを浮かべ愛香に言った。
「ずる〜い!」ふくれっつらの愛香…可愛いなぁ。
愛香が俺の気持ち知ったら…もう幼なじみではいられなくなるのかな。
俺達は図書館でしばらく勉強したあとそれぞれ帰路についた。もちろん家が隣り同士の俺と愛香はずっと一緒だ。色んな他愛もない話をして帰ってきた。少し以前みたいな幼なじみに戻れたが…違うのは愛香に彼氏がいるということ。
家の前まで着くと「じゃあまたね!」と愛香は手をふった。「愛香!」俺は無意識のうちに呼び止めてしまった。