幼なじみ 24
「じゃあ亜希に都合の良い日、聞いといてくれよ!」
あのまま一時間ほど話し込んでから二人で家路に着いた。
明日亜希に聞いてみるわ、と言うと嬉しそうに、おう!と返事をするヒロ。
やっぱりヒロと気まずい関係なのはいやだ。
だから良かったのかもしれない。
前みたいに冗談を言い合える“幼なじみ”に戻れたみたいだし……。
その夜あたしは、肩にのしかかってした重りがなくなったように、久しぶりにぐっすり眠った。
「昨日は何してたの?」
やっちゃった……
亮くんはあたしにおはようを言う前に怒ったように(100%怒ってるけどね)たずねた。
「ごめんね……着信もメールにも気付かなかったんだ……」
もう最後のほうの言葉は声にならなかった。亮くんはむすっとした顔のまま腕組をしている。
あうぅ……
「なんで気付かなかったの?」
「あ、あのね……実は最近幼なじみとケンカ……してたの……、でも昨日やっと仲直りしたっていうか、打ち解けられたっていうか」
嘘は……言ってない……と思う。たぶん。
「だから安心しちゃって……ごめんなさい」
「そんなこと聞いてなかった」
いつもの優しい亮くんじゃなくて寂しくなる……。自業自得なんだけどね。
「ごめんね……」
亮くんは、はっと短いため息を吐いて
「心配したんだからね」
と優しくいつものように言ってくれた。
「事故とか病気とかだったらどうしようって思ってたんだよ」
あぁ…本当にごめんなさい。
でも心配してくれたんだね……。
「……なんでにやけてんのさ」
「へっ?やだ…あたしったら……つい嬉しくて」
いつの間にかにやけちゃってたみたい。
「心配してくれたんだね、ごめん……それとありがと」
この気持ちわかって欲しくて、思いをこめて亮くんの手を握り締める。
「んっ…良いんだ、わかってくれたなら///」
かわいいなぁ〜〜頬を赤くした亮くんと見つめあってにっこり笑う。
「じゃあ授業始まるから…またね」
「うん、またね」
「へぇ…ヒロとケンカしてたの」
「亜希っ!いつからいたの!?」
「亮くんの、昨日〜の下りから」
「じゃあ全部聞いてたんゃん……」
ま、そういうこと、とウィンクしながら亜希は教室に入っていく。あたしも後を追いかける。
「ヒロと盛大にやっちゃったわけ?」
「うん、まぁね」
「なにが原因?」
「……」
答えに困った……。
今が言っちゃうチャンスだよね…
あ〜でもぉ……
「か、貸した本返さなかったの」
「プッ、あんたららしいわ」
ごめぇぇぇんっっ!!
亜希マジでごめんねぇ!また言えなかったぁ……
心ん中で何度も土下座。
ひたすら土下座。