幼なじみ 22
だけどその時・・・愛香の携帯が鳴ったんだ。
「はい・・あっ、亮くん!・・・うん、今帰ってる所だよ・・・」
相手はあの彼氏とやらだろう・・愛香は本当に嬉しそうに話している。もう愛香の中からは、俺の存在が消えている・・・それぐらい幸せそうな顔だ。
「うん、うん……じゃあね」
携帯を鞄にしまいながら愛香は、しまったという顔をした。
やっと俺の存在を思い出したか……。
むかつくけどここでそれを態度にしたらまた繰り返しだ。
大人になれ……。
「彼氏か?」
「うん……」
「上手くいってるみたいだな」
お、自然に笑えた。
「なんだ?うまくいってないのか?」
「ううん、うまくいってるよ」
「良かったな、幸せそうだ」
本当は良かったなんて微塵にも思ってない。でもここで言わなきゃ昔の関係に戻れない気がした。
「へぇ…ヒロがそんな風に思ってくれるなんて思いもしなかった」
「そっか?」
「うん、なんか嬉しい」
へへっ、と照れたように笑う愛香を見て、俺は気付いてしまった。
俺、愛香に惚れてんだな……。
だから愛香のことが気になって、ひょいっと表れて愛香の側にいるあいつが心底気に入らないんだ。
日に日に可愛くなってく愛香を誰かにとられたくなくて、あの日襲ったのかもしれない。
……なんてガキなんだ俺は。
フッ――ガキっぽい行動に笑ってしまった。
「どうしたの?いきなり笑って……」
「いや、ちょっとな」
「変なヒロ」
そうだな、変だよ俺。ここんとこ悩んでた事が急に解決して、心に余裕みたいのができちまった。
だからこんな事も言えるのかもな。
「お前ひまだろ?ちょっと話さねぇ?」
「えっ?」
「なんにもしねぇよ、ただ公園で話すぐらいの時間あんだろ?」
「うん、まぁ……」
愛香はしぶしぶ後をついてくる。
ちっちゃな時から最終的には俺の言うことを聞いてくれた愛香が断るわけなかった。