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幼なじみ
官能リレー小説 - 女性向け

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幼なじみ 21

「愛香は予定たてた?」
「ん?そういえばまだ…」
「そっか、ならテスト終わってからゆっくり考えれば良いさ」
「うん」

全然考えてなかったや……
そうだよねぇ、夏休みなんてする事ないし彼氏もいるわけだから何かしないともったいないかも。
でもなかなか現実感がないなぁ。

「……とりあえずテスト頑張らなきゃ!」
「お、それでこそ愛香」



「ごめん、今日は無理っぽいや」
その日、亮くんに会えたのは放課後になってからだった。
「先生にプリントまとめるの手伝えって言われて…」
「じゃああたしも手伝おっか?」
「あ、愛香ちゃんワード使えるの?」
「わーど……?」
「パソコンで文字打ってプリントをまとめるんだ」
あぁ…その“まとめる”ね……
「ご、ごめん、無理かも」
「いいよ、気にしないで、それより気を付けて帰ってね」
亮くんの手のひらがあたしの髪を撫でる。これっぽっちの事で寂しさが紛れるあたしはなんて安上がりなんだろう。
「うん、亮くんこそ頑張ってね!じゃあ夜メールするから」
にっこり笑ってバイバイを言うあたしは良い彼女かしら?




帰り道、たまたまヒロと鉢合わせになった。
この前まで茶色だった髪の毛が真っ黒になっていたからびっくりして声をかけちゃった。
「やだー!中学生みたい!」
急に大声をだしたあたしにヒロもびっくりしたらしい。
「なんだよ急に…」
「どうしたの〜その頭!」
「髪黒くしないとテスト受けさせてくんねぇんだよ……そんなに笑うなよ!」
「だって中学生の時のヒロがいるんだもん。なんか可笑しくて…あはははっ!」
爆笑するあたしをヒロは恥ずかしそうにみていた。




今日はなんてついてねぇ日なんだ……と思っていた。
寝坊で遅刻したら教育指導の先公につかまって1時間も説教された。
説教くらいどってことない、けど「その態度はなんだ」「お前は日頃の態度から悪い」なんていちゃもんつけられてその場で無理矢理髪を真っ黒に染められた。
くそっ、頑固な白髪染つかいやがって。あの色気に入ってたのに。

おまけに後5日でテストらしい。

……ついてねぇ。


でも帰り道、とんでもない幸せが飛び込んできた。

あの愛香が話し掛けてきた!

話し掛けてきたって言うより遠慮なく笑われたけど……。
「あはははは、ひぃ〜……笑った笑った」
ひときしり笑った愛香の目には涙がうっすら滲んでた。
こんなに笑った愛香を見た記憶はもう薄れていて、懐かしさがこみあげた。
どうしようもない懐かしさを隠すため俺はぶっきらぼうな言い方しかできなかった。
「お前本当に恥ずかしい奴だな」
「なによう、その言い方」
「こんな住宅地の真ん中で爆笑して、恥ずかしくねぇのかよ」
「あ、うるさかったかな」
「さぁな」

まるで昔に戻ったみたいだ。
確かにおれらの仲はこんな感じだったな……。



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