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幼なじみ
官能リレー小説 - 女性向け

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幼なじみ 18

大またで道を乱暴に歩く。
気づくと公園の前まで来ていた。

「はぁ……」

前みたいにあったかいジュースを買ってベンチに腰かける。

もうすぐ6月か……
まだちょっと涼しいかな。

毎年6月になるとヒロの家族と一緒に川に遊びに行ってたよね……。

今年は亮くんと過ごすんだろうなぁ。
梅雨の時期も、夏休みも、秋も冬も……。
ヒロじゃなくて亮くんと。

不意に涙がこぼれた。
「あはは……」
なに泣いてんのよ。
バカみたい。訳わかんない。

拭っても拭っても涙は止まらない。


自分で選んだ道でしょ。



ジャリッ―――

「っ!」
「あ……ごめん……」
「ヒロ」

バツが悪そうにヒロが立っていた。

頭をかきながらこっちに近づいてくる。

「お前……なに泣いてんの?」
「う、うるさい……ヒロには関係ないでしょ」
「はいはい、お前はいっつも隠れて泣くからな〜」
「うそ」
「うそじゃねぇよ」
「なに座ってんのよ」

ヒロはいつの間にか隣に座ってる。



でも以前みたいに、すぐ隣ってわけじゃなくて、すこしスペースを空けて。

今の2人の距離を的確に表してるみたいで少しおかしくなった。

「悩み事か?」
静かにポツリとヒロが尋ねた。
「正直わかんない」
「なんだそれ」
ははっとヒロが前みたく笑う。

「俺より頭いい学校に通ってんだろ?」
「確かにネ、だからヒロにも理解できないわよ」
私もつられて冗談まじりに笑ってしまう。


「複雑なお年頃なのよ」
「そうだな……」

背もたれに体をあずけて息を吐く。
2人の間に流れる沈黙。
でも嫌な沈黙じゃなくて、安心する沈黙だった。



「あのなっ……」
ヒロは勢い良く立ち上がる。
そして私の前で仁王立ち。
「ど…どうしたの?」
呆気に取られていると、私の視界からヒロがいなくなった。

「すまなかった!」
「……えぇ!?」

ヒロは地面に両手をつけて頭を下げている。

……えっと、これって土下座ってやつだよね……。

「あんな事して、本当にオレ後悔してる。許してくれないと思うけど謝りたかったんだ!」
「ヒ、ヒロ〜止めてよ、こんな所で……」
「本っっ当にゴメン!」

どうしよう、こんな場面誰かに見られたら変な噂たっちゃうよ……。




「ヒロぉ……」
私は焦ってるのに、ヒロは頭をあげる素振りすら見せない。

んん〜、どうしたものか……。

「ねぇ…ヒロ、とりあえず座ってよ」
優しく声をかけるとヒロは黙ってベンチに腰を下ろす。


「あたしヒロにあんな事されるとは思ってなかった」
「う……」
「初めてだったし恐かった」
「すんません……」
ヒロの頭が徐々にしなだれていく。
本当に反省してるっぽいなぁ。

「でも今までの人生の半分をヒロと一緒にいるわけじゃん」
幼稚園からの付き合いだしさ。
「そう…だな」
・・・俺を見る愛香の表情は穏やかで、さっきの悲しんだ雰囲気は消えていた。
「・・・ありがとね、ヒロ・・・お陰で落ち着いた」
俺に向ける笑顔は以前の愛香と同じだけど・・・この時俺は、こんなにも愛香が近くにいるのに、愛香と俺の間に深い、とても深い溝があるように感じたのだ。
愛香はあの時の事許してくれたのかもしれない・・・でも、もうあの時までの関係でもない。そんな現実を思い知らされるような愛香の笑顔・・・そして、愛香が立ち上がって俺に手を振るのを、俺は見詰める事しか出来なかった。

・・・ヒロと喋って、ヒロと横に座るだけだったけど何だか心が落ち着いた。亮くんみたいに優しくないし自分勝手なヒロだけど、傍にいると落ち着く・・・それはまた亮くんと違う感じで。
でも何だか中途半端な自分・・・最近、エッチが好きと言うより、亮くんと繋がるのが幸せで気持ち良くて離れられないようになってるんだけど・・・心のどこかではヒロの事を考えてる自分がいたりする。
エッチの時やオナニーの時は亮くんの事しか頭に浮かばない。そして、亮くんに会うのは楽しみだし、亮くんだからエッチされてもいい。たまに亮くんに会いたくて堪らなくなったりするけど・・・

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