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♂と♀のラブゲーム
官能リレー小説 - 女性向け

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♂と♀のラブゲーム 2

「あ…いえ…これは、その…!!」
しどろもどろになる葵に対して、舞は治に詰め寄って言った。
「あんた!!由美に何言ったのよ!!?」
「別にお前らには関係無えだろ?大した事じゃねえよ」
「じゃあ何で由美が泣いてたのよ!?」
「そんなもん知るかよ。いきなり泣き出した…」
次の瞬間、パシッという乾いた音が辺りに響いた。
「いい気になるんじゃないわよ!?理事の親戚だか何だか知らないけど女の子を泣かせるなんて最低よ!!恥知らず!」
「……」
腫れた頬を押さえて黙り込む治。葵はもう今すぐこの場から逃げ出したかった…。


さて、その翌日…。
「ええぇぇっ!!!?そ…それ本当なの!!?」
昼休みの屋上に舞の叫び声が木霊した。
一緒にいるのは由美と葵。昨日の事について由美から話を聞いていたのだ。
「うん。天草先輩は私のハンカチを拾って渡してくれただけだよ?人に見られたら変な誤解されるからって、わざわざ人目の無い体育館裏で…」
「で…でも由美、あんた泣いてたじゃない!?だから私達てっきり痴情のもつれか何かだと…」
「痴情!?アハハ…冗談じゃないわよぉ〜。実は私、花粉症でさ…ほら、体育館裏に杉の木があったじゃない?それでやられちゃったんだよ」
「じゃあ何でいきなり走って逃げたりしたのよ!?」
「いや〜、クシャミ出そうになって…憧れの天草先輩の前で『ぶえっくしょん!!!!』な〜んて出来ないじゃん。でもまさか舞と葵に見られてたとはなぁ〜…参ったよ〜…ハハハ」
苦笑いする由美。まあ、彼女にとっては見られたのが他の人間でなくて良かったというものだ。
葵は「あちゃー…」とでも言うように片手を目に当てて上を仰いだ。
「こ…この〜!紛らわしい真似しくさってぇ〜!!!」
舞は怒ってヘラヘラと笑う由美に飛びかかった。
「へ?な…何で舞が怒るのぉ〜?うぐぅ…っ!!?」
いきなり首を絞められて訳も分からず悶える由美。
「舞!止めなよ。元はと言えばアンタの早とちりじゃん。それよりさ、今はやるべき事があるでしょう」
葵に諭され、少し冷静になった舞は由美を離した。
「…そうだった。私、あの人に酷い事しちゃった。謝らなきゃ…葵、由美、私ちょっと行ってくる!」
そう言うと舞は走り去った。
「ゴホッ…ゴホッ…わ…私にも謝りなさいよ〜。一体どういう事なの…?」
「ま、ちょっとしたボタンのかけ違い…かな」
葵はそれだけ言うと黙って舞の背中を見送った。
最悪の気分で3年の教室に向かう舞は、どう誤まろうかとあれこれ考え続けた。
そして、直情型の自分を心底、反省もした。

3年A組の開けっ放しのドアから覗くと、治はひとり寂しく購買部の調理パンを食べていた。
金髪でなかったら見つけられないほどに、治の周りの空気はひっそりとし、それが舞には意外だった。
「あのぉ〜」
声を上げると、運よく治は顔を上げて、
「おっ」
というように口をすぼめ、席を立ってきた。
「どうかしましたか?佐倉 舞さん?」
廊下に出て来た治は、わざとらしい敬語を使い、昨日舞が叩いた頬を押さえて、ニッコリと微笑んだ。

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