PiPi's World 投稿小説

教授と私と方程式
官能リレー小説 - 女性向け

の最初へ
 3
 5
の最後へ

教授と私と方程式 5


「ははは…それでもこれで、互いを説得させる必要も無くなった…
 私は貴女の為に男の経験をする…」

「ええ…私は教授の為に処女を捨てる…」

互いのテーブルに置かれ手が自然に近づき、どちらからとも無くそれを重ね…握り…指を絡めた…

そこに男と女の匂いは無かった。
性を超越した、同士のようだと…美和子は思った。

「それでも・・相手が必要だは・・」
美和子はこんなことに協力してくれる男などいるのだろうかと、疑心を抱いた。

「それなら問題は無い。ここには精力漲る青年は幾らでもいる。」

確かにここは大学であって、歳若い青年たちなら星の数程いる。

「でも、女性も男性もとなると、そうはいないのでは?」

「いわゆるバイセクシャル、両刀使いですね。」

"両刀使い"という、そのダイレクトな言葉に、美和子は少しドキリとした。
それでも、それごときで動揺したことに気付かれたくは無く、いたって冷静を装った。

「ええ。そんな都合のいい相手がいるかしら?」

「心配はいらないと思います。
例えば、ゲイ相手のビデオにスカウトされたモデルたちは、その殆どがノーマルなんです。
それでもアダルトビデオを観せられたら興奮するし、髭面の男に身体を開く・・」

「まあ・・・」
心臓が高鳴った。
"身体を開く"という、その男同士の光景が脳裏に浮かんだ。

「男なんてそんなものです。そこに金銭が絡むと抵抗心も薄らぐ・・」

「お金を払うんですか?」
それは美和子の思いとは異なっていた。
お金を払うのであれば、こんな計画など無意味な気がした。

「あくまでも研究の一貫として協力してもらう・・金銭の受け渡しは一切しません。」
教授はきっぱりと言い放った。

美和子の顔に安心の笑みが浮かんだ。

「大丈夫です。心配はいりません。
心理学的にも大変興味深い実験です。私はちゃんと相手の心理状態の変化を見たいと思っています。」

「本当の研究ですね・・」

「はい。ですから、貴女も協力者の一人です。」

その日から数週間経っても、教授と会うことは無かった。
講議も休講となり、研究室に訊ねて行っても、教授の姿を見ることはできなかった。

あのカフェテリアの会話は、単なるその場だけの言葉遊びでしか無かったのではないか?
それとも、29にもなって未経験の女の心理を、面白がっていたに過ぎなかったのではないか?
そう考えるだけで、いつものネガティブ思考が頭をもたげ、教授が同性愛者だということさえ疑わしく思えてきた。

実のところは奥さんとはラブラブで、美和子との会話を面白可笑しく食卓の話題に..
もしくはセックスの後のまったりとした時間に登らせ、2人してクスクスと苦笑しているのではないか?と思えてならなかった。

ばか・・だな・・

美和子は寂しかった。
そんな自分が痛かった。

男と寝ることを期待した訳では決して無かった。
もし、計画が駄目になったとしてもそれはそれでよかった。

ただ、美和子は教授とのあのカフェテリアでの時間が愛おしかったのだ。

自然と足は、キャンパス外れのあのカフェテリアに向かっていた。
教授と向かい合ったあの席で、アールグレーの香りと共に煙草をふかすのが日課になりつつあった。

「あ・・・」
美和子は店に入るなり声を小さく上げた。
「どうかなさいましたか?」
ソムリエエプロンを腰で絞めたウェイターが怪訝な顔で首を傾げた。

「い、いえ・・別に・・」
美和子は庭園席を見つめながら、そう答えることしかできなかった。

普段、滅多に客のいないこのカフェで、しかも庭園席に客の姿を見たことはなかった。
しかしその日、ダンガリーシャツの蒼い背中が、美和子の思い出の席にはあったのだ。
その青年の広い背中を見つめ、そんなことは些細なことと、美和子は割きるしかなかった。

店内のテーブルに腰を落ち着け、煙草のボックスを出すと、足早に、さっきのウェイターがやってきた。

「すみません。喫煙は庭園の席でお願いします。」
バイトなのだろう、サイズの合っていないシャツの襟刳りから、Tシャツが覗き見えた。

美和子は仕方なく腰を上げ、庭園席への扉を開けた。

SNSでこの小説を紹介

女性向けの他のリレー小説

こちらから小説を探す