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優柔不断な恋心♀×♂♂
官能リレー小説 - 女性向け

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優柔不断な恋心♀×♂♂ 7

あの日・・・・

黒い雲の中で放電しているのが見て取れた。
降り出した雨は次第に激しさを増し、ドラムのように強く窓ガラスを叩き始めた。

雅志に告白してまだ日は浅かった。
それでも今時の女子高生であるリカは積極的に雅志をリードし、彼とのキスは数日前に終わっていた。
リカにとっては始めてのキスでは無かったけれど、奥手の雅志は始めてだったとみえて、そのことがリカには嬉しかった。

特別に一緒に帰る約束をしていた訳ではなかった。
それでもこんな日は一緒に雨に濡れたかった。
家には誰もいないことは分かっていた。
そのことをメールで伝えようとも思ったが、それはあまりに露骨過ぎてリカには戸惑われた。

自然な流れで・・・
濡れた服を乾かすだけ・・
それがよかった。
そんな流れで雅志と結ばれたかった。

廊下で強士を見つけた時、リカはその姿を隠した。
彼のことを鬱陶しく思った訳ではなかったけれど、今日は強士はいらなかった。
続けて友達に囲まれてやって来た雅志が、何やら強士に話しかけているのが見えた。

リカは一緒に帰らないでと、胸に置いた手を強く握った。
それでも雅志は強士を伴って、コソコソと視聴覚室に消えていった。

黒いカーテンを下ろされた視聴覚室は何をしているのか分からなかった。
ドアに耳を着けてもみたが、防音設備の施された室内の音が溢れてくることは無かった。

リカは仕方なく少し離れた階段に尻を着けた。
10分だけ・・10分だけ待ってみよう・・・
それでも雅志が出て来なかったら、今日は諦めよう・・
そう心に誓い膝を抱いた。

10分が15分になり、30分になろうとしていた。
開いた携帯も、芸能人のブログも上の空だった。
リカは諦めるしかないと、尻をあげた。
と、意気なりにドアが開き、ズボンの前を止めながら男子が出て来た。
強士だった。
はだけたシャツを翻し、濃紺のボクサーパンツを見せる仕種はかっこよかった。

リカは今度は声を掛けようと思ったが、強士の火照った顏を見て躊躇せざるおえなくなった。
柱の陰に身を隠しながら、ドキドキした。
廊下を走り去る強士の股間は・・・あきらかに勃っていた。


開いたドアの向こうから啜り泣くような女の声が溢れ聞こえてきた。
リカはクスリと笑った。
視聴覚室でのAV観賞は男子に限った事では無かった。
リカとて先週、密かに行なわれる女子だけの観賞会に誘われたばかりだったのだ。

それでも強士が飛び出して来たことが気にならない訳ではなかった。
あれ程のイケテル容姿を持った強士が、AVに逃げ出すほどに初心な男だとも思えなかった。

まあ、今日は帰るか・・
リカはそんな事なら帰るしか無いと思えた。
いくら自分がピチピチの女子高生であったとしても、AV嬢の後に自分の肌を晒すには気がひける気がした。
聞こえないことは重々承知していたが、リカは忍び足でそっと廊下を歩んだ。

ガタッ!!

振り返るリカの目に駈けて行く雅志の背中が見えた。
留め金を閉めていなのだろう、ベルトのバックルがカチャカチャと金属音を発てていた。

何やってんだか・・・
リカは半ば呆れて雅志の背を見送った。

下駄箱でカバンの底の折畳み傘を探す手に小箱が当った。
友達がそっとくれたスキンだった。
今日、雅志と始めて結ばれなかったことは残念ではあったが、嫌な気分では無かった。
寧ろ、AV観賞会から強士を追う為に飛び出してきた雅志に対して、くすっぐたいような甘酸っぱい気がしたのだ。

予想通りに大粒の雨は下着までもをグッショリと濡らした。
折畳みでは刺しているのも馬鹿らしく思え、リカは直に雨を受けながら天を仰いだ。
空は明るかった。
白みを帯びた雲が直に止むことを告げていた。

遠くでサイレンの音が大きくなり、リカの前を通過して行った。
濡れたアスファルトに反射する赤い光が綺麗に思えた。

リカは過ぎ去っていく救急車を・・じっと見つめた。

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