―EDEN― 2
ボーイは頭を深々と下げる。すると中からスーツを
着た男が出てきた。
「蓮?どうした?」
「店長。」
《…店長?すごく若い。30歳手前ぐらいかな?》
“蓮”と呼ばれたボーイが店長へ耳打ちする。すると店長がニコリと笑って華澄を見た。
「貴女が―Planet―の…。本日はいかがなさいましたか?」
「…実は先日この財布を拾いまして、仕事が休みだったのでお届けに上がりました。」
華澄は先日拾った財布を店長へ差し出した。
差し出された財布を店長が受け取り中身を確認した。
「これは、これは。蓮。アゲハは今空いているだろ?アゲハを呼びなさい。」
「かしこまりました。」
蓮はカウンターへ行き電話をかけた。
「華澄様、確にこれはウチの従業員、アゲハの物にございます。今、本人が参りますのでしばしお待ち下さい。」
「いや、構いませんよ。」
華澄が断ろうとすると奥のドアからスーツ姿で綺麗な男が出てきた。真っ黒で髪で碧い眼の男だった。
「店長!俺の財布見付かったって!?」
「あぁ。この方が拾って下さった。礼を言いなさい。」
「ありがとう。本当に助かったよ。この財布、気に入ってたんだ。何かお礼をするよ!」
「いえ。気にしないで下さいたまたまですから。」
「そんな訳にはいかないよ。そうだ。ここで遊んでいけば?よかったら会員になりなよ!」
アゲハと呼ばれていた男は屈託のない笑顔で華澄に言った。
「いや、でも…」
「気にするなって。いいよな!?店長!」
「あぁ。華澄様さえよろしければ、アゲハの言う様に会員になられませんか?」
「ほら!店長もこう言っているしさ!」
アゲハが嬉しそうに言っていると先程のボーイの蓮がアゲハに声をかけた。
「アゲハ。指名が入った。部屋に行きなさい。」
蓮の言葉にアゲハが華澄に手を振り去って行った。そして華澄がロビーを見渡すと女が2名程カウンターにいた。
《さっきの指名入れたのはあの人たちかな…》
「いかかです?アゲハもあぁ言っておりますし、よろしければ遊んでいかれませんか?」
「えぇ…。じゃあ…お言葉に甘えます。」
すると店長は分厚いファイルを2冊持ってきた。
「それでは当店の説明をさせて頂きます。当店は会員制のホストクラブです。ただ普通のクラブではございません。」
「普通じゃないって?」
「当店はSMホストクラブでございます。」
「SM!?」
店長の言葉に華澄は驚きを隠せなかった。
「え…。SMってあのSMですよね?」
「もちろんでございます。」
それから店長は手際よく説明を続けた。