―EDEN― 1
ここは夜の街。
色とりどりのネオンが輝く宝石箱の様な街。
貴女を楽園までエスコートしてくれます。
《…つまらない…。何もかも…。》
私の名前は『響 華澄(ヒビキ カスミ)』20歳。夜の街で暮らしてもう2年。18歳の時に夜の街へ飛び込み、この街の5本の指に入る店で働き1年でNO.1までに登りつめた。―そう。私はいわゆる、キャバクラ嬢。この店のトップとなれば稼ぐ額もハンパない。欲しい物は何でも手に入り、みんなが私の命令に従う。けれど…
何故か…満たされなかった…。
華澄はいつもの様に仕事とアフターを済ませて自宅へと向かいあるいていた。
《…疲れた。けど、欲しかったエル○スの新作バッグくれたからいっか…あれ?道に何か落ちてる…》
道端に落ちていたのは財布だった。
《あれ?この財布、数個限定販売されていた○ィトンのプレミア財布…いいなぁ、これ欲しかったんだよなぁ…ってそうじゃなくて。どうしよう。交番?警察署?中になんか入ってるかな…?》
華澄が戸惑いながら財布を開けると現金で100万の札束が入っていた。
《…この財布の持ち主は水商売だ。》
華澄は同類の勘でわかった。そして更に探ると免許証、クレジットカード、診察カード、その他。―そして名刺が出てきた。
《…名刺?…Lady's Club EDEN…?ホストか…。アゲハ…?名前かな…?》
―Lady's Club EDEN―
アゲハ ―AGEHA―
《…ふぅ。住所も分かるし、明日は仕事休みだし届けてあげようか…ケド、こんな所にホストクラブなんてあったかな…?》
華澄は店のNO.1。この街の情報は常に手に入る。なのにEDENというクラブは初耳だった。
そして夜更け。
《…名刺の住所によるとこの建物なんだけどな…》
華澄が訪れたのは何のへんてつもないビルだった。華澄はビル内に入りエレベーターに乗ると階を指定するボタンが1つしかなかった。
《…数字が書いていない。どうゆう事…?》
華澄は不思議に思いながらボタンを押すとゆっくりとエレベーターは動き出した。そしてしばらくすると止まり、扉が開いた。華澄は歩き出した。そして華澄は目を疑った。
《な、なにここ!?》
そこはビルの中とは思えない程に広くゴージャスでヨーロッパ宮殿のような内装だった。内装に驚いているとタキシードを着たボーイらしき男が近付いてきた。
「いらっしゃいませ。ようこそ“EDEN”へ。…お客様は新規ですね?ここは会員制のクラブでございます。招待状はお持ちですか?」
ボーイは柔らかい笑顔で華澄に語りかける。
《会員制…。でも変だ。ここはロビーみたいだけど奥に見えるドアが幾つもある…》
華澄が辺りを見回しているとボーイが再び訪ねた。
「…貴女様は、―Club Planet―のNO.1の華澄様でいらっしゃいますね?」
「…私をご存知なの?」
「はい…。貴女様程の美しい方でNO.1ともなれば有名でございます。」