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年下女子におもちゃにされるか弱いおじさん
官能リレー小説 - SM

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年下女子におもちゃにされるか弱いおじさん 2

飲みの席でも、わざわざ席を移動して自分の隣に座ってくる。彼女は周りの女性社員に比べるといつもシンプルな装いをしていた。その日も膝丈のぴったりとしたスカートに、紺色のブラウスを、スレンダーな体にまとっていた。黙っていれば、清楚で大人しめな美人に見えなくもない。だが口を開けばまた質問責めだ。
周りの騒がしさに紛れて、彼女はぶしつけに既婚か否かを聞いてきた。独身だというと、「えーカッコいいのに意外。本当ですかー?(笑)」とわざとらしく持ち上げてくる。「彼女さんはいるんですか?」若く美しい女性に至近距離で顔を覗き込まれ、どぎまぎしてしまった。長年付き合っている恋人のようなものがいるにはいるが、お互い忙しくて近頃は会う暇もない。結婚するタイミングも逃し……と、聞かれてもいないことまでぺらぺらと話してしまった。彼女は美しい顔に一瞬ニヤリと、意図のわからない妙な笑みを浮かべた。彼女の話術には口を滑らせる不思議な力があった。

そこからは食べ物の好み、アレルギーの有無、これまでに一番嬉しかったこと、幼少期の特に残っている思い出、身長、体重、体脂肪率、靴のサイズ、そんなこと聞いてどうするんだと思えるほど、彼女は丸で自分の情報収集でもするかのように聞いてきて、自分は聞かれるがままについ素直に答えていった。根掘り葉掘り聞かれても、なぜかもう不快には思わなかった。

真ん中辺りの席に紛れていたせいか、二人でばかり話していても周囲に特に気にされるでもなく、完全に『二人の世界』のようになっていた。

一通り質問攻めを終えると、彼女は「志保さんって、聞いたら何でも答えてくれちゃいそう。」といたずらっぽく笑う。「あぁ、いや……なんだかつい。そんなに、聞かれること、ないから。」とよく分からない返答をしてしまう。実際、人にこれほど興味を持たれたことは未だかつてない。先程から彼女から漂う淡い香水の香りや、盛り上がっている周囲の女性社員に比べて汗一つかいていないきめこまかい肌が気になって、年甲斐もなくドキドキしてしまい、何を聞かれているのかも正直わかっていないような状態だ。赤い口紅が嫌味なく似合う美しい唇をつい数秒間見つめてしまう。この時すでに自分は、恋人のいる身でありながら、この不思議な娘にすっかり惹かれていたのかもしれない。

会の終わり際、会計をしたりコートを着たり二次会がどうのとはしゃぐ騒がしさの隅で、彼女はこれまでの若い女の子らしい、怖いもの知らずな話しぶりとはうって変わって、少し恥ずかしそうに、慣れないようにもじもじしながらこちらを伺っていた。

怪訝に思って様子を見ていると、目が合った。彼女は辺りを気にしながらさり気なく隣に並んできて、周りに聞こえないくらいの声量でこう言ってきた。

「あの……もしお嫌でなければ、よかったら今度二人で飲みとかいかがですか?
……あっ。でも、彼女さんに悪いですよね。……す、すみません、変なこと言ってしまって……ゴメンナサイ。」

勝手にいうだけ言ってから、うろたえたような瞳で気まずくコートを着込む彼女。自分の言ったことを恥じるような20代の横顔がいじらしく見えた。これまでの印象とのギャップもあり、自分はすっかり彼女のことを冷静には見られなくなっている。礼儀のない子だと思っていたが、しおらしいところもあるじゃないか、と思ってしまっていた。美人だから警戒していたが、美人だからこそ敬遠されることもあるだろうし、案外こういうことに、慣れていないのかもしれないと。

「いつも失礼なことばっかり言っちゃってすみません。志保さんと話してるといつもとっても楽しいんです。私、本当は友達とか全然いなくって、こんなに話し合う方って生まれて初めてで……だからつい……」

恥ずかしそうに言いきると、皆と一緒に出ていこうとする彼女。そんな台詞はこれまでの人生で言われたことがなかった。しかもこれほどの美女。生まれて初めて『舞い上がる』という感覚をほのかに覚えた。

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