反逆グラドル 3
必死に身体を左右に振り、柴田の手を振りほどこうとする佐紀。
しかし柴田の掴む力は強く、その思いはかなわない。
「んっ、んっ、んーっ!!」
「おとなしくしなさい!……君にだって悪いことじゃないんだ…!!」
佐紀はとっさに右足に力を入れ、柴田に後ろ蹴りをかました。
「っ!!!」
突如やってきた激痛に顔を歪め、柴田の手から佐紀が離れた。
佐紀は部屋の鍵を開け、一目散に逃げた。
「佐紀ちゃん!」
「希美さん!!」
ドアを開けて見えた姿に、佐紀は安心して泣きじゃくりながら抱き着いた。
「アイツ…汚い手使って手元に残そうだなんて、許せないな」
「…怖いですね」
「奈央さんに今度伝える」
希美は佐紀を連れ、部屋の前を離れた。
獲物を逃した柴田だが、彼は早くも次の手を考えていた―
そんな騒動があった数日後……
「真帆の事務所、今大丈夫なのか?」
「…うーん、ちょっと困ったことになったかもしれない」
都内の高級高層マンションの一室。
そんな会話を繰り広げる男女…女の方は湯之上真帆、25歳。
彼女もサンフォース所属のグラドルであり、最近は女優としても注目を集める。
男の方は三島孝弘、33歳。
真帆の交際相手であり若き辣腕経営者として注目を浴びている。
「孝弘さん、うちの事務所を買ってくれない?」
「それはまた急な話だな…身内じゃ誰も頼りにならないのか?」
「亡くなった社長の息子さんはいい人だよ…でも、それだけじゃ、今後が」
真帆の話を孝弘が親身になって聞き続ける。
「もう一人、副社長の奴は私たちを商品としか考えてない、しかもエロ目線で見てるジジイ。身体を売ることで知名度も上げてやる、なんて言ってくるの」
孝弘は表情を曇らせる。
しかし彼もまだ決められる立場ではない。
「僕みたいなよそ者がいきなりやってきたらさらに大問題になる。真帆とのこれからも、続かなくなったらみんなが悲しむことになる」
「孝弘さんなら、大丈夫だと…」
声が震え、詰まる真帆に孝弘が後ろから優しく抱きしめた。