僕の彼女 1
「ただいまぁっ!!」
玄関の扉を勢い良く開けて、彼女がお帰りだ。
「お帰り。遅くまで仕事お疲れ様だね」
「ううん、こんなのへっちゃらだよっ!それに海斗がこうして迎えてくれると疲れも吹っ飛ぶよっ」
「それならいいけど」
僕、杉原海斗の彼女…木原麻衣子、20歳。
麻衣子は『葉月メイ』の芸名で活躍する人気グラビアアイドルなのだ。
もちろん麻衣子は僕にとっては勿体無いような相手で、こうやって一緒に暮らしていること自体、僕にとっては夢のようなことなんだけど;…
「飯の支度は出来てるぜ…それとも風呂にするか?…」
「うぅ〜ん海斗ったらぁ〜、それよりも先にぃぃ〜♪」
甘えて麻衣子が抱きついてくる。
Iカップ人気グラドルのおっぱいが僕に押し付けられる。
因みにアイドルだけに、男女交際はご法度と言うかスキャンダルになる。
彼女ぐらい有望になれば、事務所ががっちりガードするのが普通だ。
僕みたいのが近づける隙なんて普通は無い。
「やっぱり・・・海斗綺麗だから似合ってる・・・髪もサラサラだしぃ・・・」
僕の長く黒い髪を撫でながらうっとりと言う麻衣子。
「こんな男、嫌じゃない?」
「どうして?・・・素敵だし、こうしないと同居できないよ?」
僕の今の格好は女装。
長い髪と白い肌と華奢な体格・・・
そして自分でも呆れるぐらいの綺麗な女顔・・・
今の僕はどう見ても女にしか見えない。
つまり、世間的には女同士の同居と言う事になっていて、僕が忙しい彼女に代わって専業主婦みたいに身の回りの世話をしてる訳だ。
これが2人だけの秘密で、事務所すら知らない事だ。
そしてこのお陰で、『葉月メイ』は男の噂が全くない清純派のグラドルとして人気になってた訳だ。
「それに海斗のココは、一番すごいもん…」
「…っ!」
抱き着きながら麻衣子が僕の股間を弄ってくる。
女顔で細身で色白、どこをどう取っても男らしくないのに、股間だけは他の男にも引けを取らない。
僕としては麻衣子にそう言われても自信ないんだけど。
「私、海斗が大好きだもん…」
唇が重なる。
力が抜けてストンとその場にへたり込んでしまうと、麻衣子がすかさず僕のデニムを脱がしていく。
…こうなった経緯。
もともと、麻衣子と僕は幼馴染だった。
全校生徒で数十人の田舎町に住んでいた。
麻衣子が親の仕事の都合で転校したのが10年位前。
高校を卒業して、一人都会へ…しかしうまくいくはずがなく挫折しかけていたその時、麻衣子に再会したのだ。
麻衣子はスカウトされ芸能事務所入り。
顔立ちはあの頃を残したまま身体は素晴らしく成長しておりグラビアで徐々に売れ始めてきたころだった。
『葉月メイ』とは麻衣子が自分で考えた芸名だという。
8月生まれの麻衣子と、5月生まれの僕…そこから考え出したのだと。