初体験はお姉ちゃんそして…… 193
「そろそろ良いかな?」
肉をキッチンペーパーの上に置き、バターを吸収させ、皿に盛り付ける。
「沙耶、そこに切ってある野菜適当に皿に入れて。」
「は〜い。」
「私は舞お姉ちゃん呼んでくるねぇ。」
仕上げにレモンを肉の上から絞る。
ジュウゥゥゥッ
「うわぁ…一気に蒸発しちゃったよ〜。」
「そのくらいが美味しいんだよ。」
「舞お姉ちゃん呼んで来たよぉ。」
「丁度良いタイミング。今出来たところだよ。」
「凄いわね。豪勢だ事。」
「味は保障しないけどね。」
「これ何ていうのぉ?」
「沙耶も知らない〜お兄ちゃん教えて〜。」
「あ、この肉料理?『ヴィナーシュニッツェル』って言うんだ。日本風にするとウィーン風カツレツかな?」
「確かラデッキー将軍がミラノから持ち帰ったのよね。」
「舞お姉ちゃん物知りだねぇ。」
「沙耶また一つ知識が増えたよ〜。」
「さあ、冷めないうちに食べよう。」
「頂きます。」
「頂きまぁす。」
「頂きま〜す。」
「ん〜美味し〜い。」
「良かった。茜は……意見を聞くまでもないくらい黙々と食べてるか。」
「ふふふ。家では作法なんて関係ないわね。」
「スープもパンも最高だよぉ。」
「パンは〜沙耶が焼いたんだよ〜。」
「そうそう。沙耶にやってもらったんだっけ。」
「それはお手柄ね。」
「ちなみに材料費は……」
「それを言っちゃだめだよぉ。」
「そうだよ〜。」
そう言いながらこの日のディナーは終了した。
「あ〜美味しかった。」
「今日は私が洗うわ。」
「舞お姉ちゃんよろしくね〜。」
「お兄ちゃん一緒にお風呂入ろうよぉ。」
「え?」
「昨日は沙耶と入ったんでしょぉ。私もぉ。」
「茜とは一緒に寝たじゃんか。」
「でもぉ一緒にお風呂は入って欲しいのぉ。」
「じゃあ今日は一人で寝るんだぞ。」
「はぁ〜い。」
ちょっと納得していない様子の茜だった。
「お兄ちゃんと一緒に入るのいつ以来かなぁ?」
「さぁ……そういえば茜とはかなり久しぶりか……」
「え?私とはぁ?『とは』って事は誰と一緒に入ったのは久しぶりじゃないの?」
「夏休みの最初、沙耶と出かけたときに一緒に入ったし、11日にはお姉ちゃんと一緒に入ったし。」
「何でいっつも私が除け者なのぉ?」
「いや……そういうつもりは毛頭ないんだけど……」
「じゃあキスして。」
「ちゅっ。」
「やっぱり私には浅いキスだよぉ。」
「茜……ストレス発散に僕を使ってないか?」