僕はスーパーで蕎麦と長ネギ、わかめそして出来合いのかき揚げ買った。帰りに肉屋に寄って牛の肉を買った。
「ただいま。」
「あ、もう帰ってきたのね。お帰り。アンタ一人でできる？」
「そんなに難しい物は作らないよ。」
蕎麦を茹で、長ネギとわかめを乗せ、かき揚げを添えただけのいい加減な昼食が出来上がった。
「ご飯できたよ。」
「わ〜待ってました〜。」
「また作ってくれたのぉ？」
「悪いわね。ありがと。」
「非常にいい加減だけどね。かき揚げは出来合いものだし。」
「え〜お兄ちゃんが作ってくれたんじゃないのぉ？」
「茜、そうやって文句言わないの。」
「そうだよ〜。せっかくお兄ちゃんが買ってきてくれたんだよ〜。」
「まあ、夕食はもう少しまともなものにするから勘弁してよ。」
「うん。」
「お兄ちゃんは謝らなくて良いんだよ〜。」
「あらあら、沙耶は優しいのね。」
「どうせ私は優しくないわよぉ。」
「すぐ膨れるなっていつも言ってるのに……」
「ぞぞ〜っ。美味し〜い。」
「沙耶、良いところでフォローしたわ。」
「舞お姉ちゃん、そういう時は言わない方が良いんだよ〜。」
「ふふふっ。そうね。」
ここは沙耶とお姉ちゃんが場を和ませた。

「ご馳走様。」
「じゃあ〜沙耶が洗っておくから〜。」
「良いよ。その位は……」
「沙耶だってお手伝いくらいできるよ〜。」
「はいはい。」
「あらまあ。沙耶は偉いわね。」
「舞お姉ちゃんと茜お姉ちゃんは今が勝負でしょ。」
「そうね。ありがと。」
「ありがとぉ。」
「じゃあ僕は一休みさせてもらうね。」
「お兄ちゃんこれ教えて。」
茜が問題集を持って部屋にやって来た。
「良いよ。え〜と『母線の長さが６センチで底面が半径４センチメートルの円錐の表面積を求めよ。尚、円周率はπとする。』ってこれ中一の問題じゃないか。」
「……そうだけどぉ……母線ってなんだっけ？」
「この斜めの線。」
「え〜と表面積は……」
「底辺は求められるだろ？」
「うん。」
「側面の扇形は母線の二乗×πと底面の円周／母線×２×πを掛け合わせる。」
「ありがと。」

「そろそろ夕飯を作るかな。」
僕は部屋を出てまずスーパーに向かった。付け合わせの野菜とスープの材料、そしてフランスパンを買った。
家に帰り、まず先に買った牛肉を叩き、のばす。塩コショウをふり、小麦粉、卵、パン粉をまぶし、バターで片面ずつ焼くように揚げる。
「うわぁ何かいいにおいがするぅ。」
「お兄ちゃん何作ってるの〜？」
茜と沙耶が台所にやってきた。
「あ、丁度良かった。茜、そのスープ器によそっておいてくれるかな？」
「はぁい。」
「お兄ちゃ〜ん沙耶は〜？」
「フランスパンを焼いて。」
「は〜い。」