初体験はお姉ちゃんそして…… 187
「はぁ……茜があんな事するとはな……」
「ねえ……入っても良いかな〜?」
「沙耶?」
「うん。……入って良い〜?」
「良いよ。」
「沙耶の〜部屋にも聞こえてたの……茜お姉ちゃんが〜……お兄ちゃんに〜……」
「その話は忘れてほしいな。」
「でも〜沙耶も一言謝りたくて〜……」
「もう良いよ。ホラ、おいで。」
ドアの前に立っていた沙耶を呼び寄せ、強く抱きしめた。
「お兄ちゃ〜ん……ごめんなさ〜い。それから〜…ありがと〜。」
沙耶はそう言い暫く抱きついていたがそのうち寝息をたて始めた。
「沙耶……謝りに来ておいて……。まぁしょうがないか。気疲れしたかな。」
僕は沙耶を抱き沙耶の部屋へ行った。
「あ、しまった。手がふさがってるんだ。おんぶして来れば良かったな……」
と、そこへお姉ちゃんが来た。
「お姉ちゃん、戸を開けてくれる?」
「ええ。」
ガチャ
僕は沙耶を起こさないようにそっとベッドに寝かせ、タオルケットをかけた。
「お休み。」
沙耶にそう言って部屋から出ると
「どうしたの?」
とお姉ちゃんが訊いた。
「昨日のこと謝りに来て、抱きしめてやったら安心したのか寝ちゃったんだ。」
「そう。謝れるだけえらいわ。私だったら置手紙とかにするわね。」
「茜は手紙だったよ。」
「やっぱりね。」
「でも僕は、沙耶みたいに口で言ってくれたほうが嬉しいかな?」
「ふ〜ん。」
「だって顔見れば本当にそう思ってるかどうかわかるし、その場に居ればすぐに答えてあげることもできるし、何より手紙だと本当の気持ちが書きづらいよ。」
「そうなの?」
「口語調で書くとすまなそうに見えないし、文語調で書くといわゆる『文章』になるから。と、僕は思うんだけど?」
「そっか。……そうね。」
「あ、もうこんな時間だ。」
「沙耶が疲れる筈ね。じゃあお休み。」
「お休みなさい。」
僕は部屋に戻った。
「茜も沙耶も割と考えてるんだな……」
部屋で僕は呟いた。
「かといって二人の好きにさせてたら僕の体が持たないし……と言ってまったく相手をしないわけにもいかない……って本来兄妹がこんな関係でいいのかな?」
僕は考えているうちに睡魔に襲われいつの間にか眠ってしまった。
「ん……朝か…答えは出なかったな……」