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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 36

「そちらにも事情があるのだろうが、気にくわないな…」
ダイダイオはドリザル8を見やって呟く。

ダイダイオの動きは追跡者の2人も感知した。
「レガート派を助けている…、あいつもそうだったのか!」
渚が間違った事を叫ぶ。しかしこの状況ではそう思ってしまうのも仕方が無い。
レガート派とやらに戦火が飛び火したら厄介だ…後でどうにか根回しせねば。
アインがそんな事を考えていた時、ふっとある事に気づく。
レガート側の機体とゼイル側の機体カターリナはどことなく似ている。
旧世代機や作業機などがお目こぼしの範囲で地球にも流通(というより流出)している中、あの機体は妙な違和感がある。

アインがアハトに命じ再検索させると、異世界でカターリナ開発以前から、タルラホーンは地球で製造されていた。

「逆にカターリナが地球製装機のコピー…の訳ないか。」

タルラホーンのスペックはよくよく比較すると、現行カターリナより試作機に近い。

「まさかこれ…試作段階でのデータ流出…って事か?」

流出機体の新旧や優劣はさほど問題ではない、軍用機の試作データ流出が大問題なのである。
異世界中央政府が見過ごしてきた流出事案、アインが想像していた以上にキナ臭い。

「敵はゼイルやテロリストだけじゃない…みたいだな。」
「ブツブツうるせえぞアインシュタイン三等兵!もっと飛ばせ!奴らに逃げられる!」

ドリザル8の注意が接近してくる2機に向いた。
日本と完全に国交断絶する覚悟で異世界の技術のおこぼれをかっさらいに来ていた王国軍は、その邪魔者を始末しようとした…が止めた。
レガート派の横やりで人数が半減している今、勝ち目は無い。今、目の前でレガート派をかばう謎の機体も厄介だ。
完全に状況が詰まってしまった。
自衛隊側は状況が分からず、カターリナを目の前にして攻撃出来ずに居る。
ダイダイオは5機に取り囲まれて下手に動けない。
王国軍は機体数は多いのだが、自衛隊の機体と謎の機体に挟撃される形となってしまっている。

そんな時、王国軍の傭兵の1人も真実に気付く。
「あの機体…レガート派の増援じゃないぞ!異世界から来た機体だ!」
「それがどうしてタルラホーンに酷似してるんだ!」
「そんな事はとりあえず後だ。あいつが異世界の機体であるなら話が速い。脱出ポッドもろともあの機体も捕獲してしまえ」
「さて、茶番はここまでとしようか?」

傭兵達はお宝を目の前にするや不利を承知で目の色を変えた。
鬼塗装のドリザルがカターリナに詰め寄り、他の機体は二手に分かれ銃口で牽制する。

三つ巴は大概初めに動いた奴が痛い目を見る、そのタイミングを待っていたとばかりダイダイオはコックピットでほくそ笑む。
テレパシー通信でタルラホーンのパイロット達に耳打ちした。

『通信モニターを切れ』

タルラホーンの三人が三人とも操縦席で怪訝な顔をしながら、妙な説得力を持つ彼に従う。
剥き出しにされたおっぱい…いやコックピットの脱出ブロックを片手で庇う隊長機。
片腕をもがれた随伴機、そいつに抱えられた相方の脱出ポッド。
今彼らが頼れるのは、この狂人しかいないのだ。

無論この狡猾なサイコパス、ダイダイオにはレガート勢の期待に応える策があった。
あえて騎士道うんぬん冗談じみた能書きで時間を稼ぎアインと渚を追いつかせたのだ。

三つ巴の二番手、王国側に銃口を向けられた渚とアインは迷う事なく戦闘機動に入る。
無論、自衛官たる伊庭渚三等陸尉はオープン回線で通信を開き、警告を行いながらである。
手短に『武器を捨てろさもなくば排除する』といった内容を日本語・英語・イラク方言で流暢に警告する。

ダイダイオはあの雌ゴリラならまたやらかすだろう、いやあの雌ゴリラは絶対またやらかすという読みは的中していた。
予想通りドリザルのパイロット達の通信モニターには『渚自身』が映し出されていた。
無論カメラがシモにズレた状態、であったのは言うまでもない。

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