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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 35

一般機からすげ替えた頭部ユニットの通信機が不調で周波数が合わず、タルラホーン側の事情はサッパリ解らない。
解らなくとも彼らの敗北は時間の問題、ドリザル側の25mm程度のサブマシンガンやアサルトカービンの数発でも何かしらの損傷を負っている。

異世界純正のカターリナに比べて機体強度が低いのは地球製の技術不足だけではない。
短銃身大口径ハンドガンやオプション武装のミサイルポッドからして、少数精鋭の空挺作戦や前線での組立分解が前提の仕様だ。

隊長機の大口径ハンドガンの弾薬が尽き、人間用の自動拳銃と同じくスライドストップがかかる、予備弾倉も尽きていた。
隊長機はなけなしの頭部バルカンで牽制を加えながら、最後の予備弾倉を寄越そうとする小破した機体に駆け寄った所を押さえ込まれた。

先程金的を食らった機体が息を吹き返し、背後からのしかかったのだ。

「あさましい、所詮は砂漠の蛮族か、まるで野盗か山賊だ。」

ダイダイオが傍受する内容は何故かどことなし卑猥な口調で、ドリザル側は隊長機パイロットを捕獲する様な物言いをしている。
タルラホーン側は相変わらずノイズが酷く何を言っているのか解らない。
ドリザル8が馬力に任せて、隊長機を押さえ込みコックピット周りの追加装甲を引きちぎっている。
脱出ユニットごと引っこ抜いて連れ帰る気なのだろうが、その姿はまるで強姦魔であった。
良家の出身たるダイダイオは露骨に嫌悪の表情を歪め、離脱の算段を始める。

「蛮族同士、じゃれ合うがいい。」

しかし彼は聞いてしまった、タルラホーンの隊長機から、ノイズの海に沈みかけた声。

助けて、と。

半ば、無意識の内にダイダイオはカターリナに抜刀させ、踵を返していた。
そして強姦魔まがいのエロザル、いやドリザルをタルラホーン隊長機から引き剥がし、組み討ちでコックピットを貫いていた。
損傷したタルラホーンを背に庇い通信を試みるが、相変わらず機能不全なままだ。
ダイダイオは外部スピーカーをONにする。
そして彼はエロザルから引き抜いた超合金サーベルを掲げ、長々しい口上を始めた。

「やあやあ!我こそは異世界の騎士!ダイダイオ・レン・ジクン!騎士たる者は弱き者の盾として…」

彼は貴族社会に毒されていた、戦場の恐怖に囚われる狂人であった。

だが彼は騎士であった。

『レガート派の増援か?』
『しかし基地外の道化者ではなぁ?』
『何だあの股ぐらの豆鉄砲は!』
『まるで割礼前の小僧ぞよ!』

何故かドリザル側の罵倒だけ鮮明に受信出来た。
主に基地外、包茎童貞といった意味合いの言語ばかりだ。
笑われ罵られても構わずダイダイオは口上を続ける。

「たとえ傷ついて力尽きても!明日の平和への礎…」

ダイダイオは口上で時間を稼ぎ、タルラホーン隊長機のパイロットとテレパシー通信していた。

「聞こえるか?タルラホーンのパイロット!」
「なんだ脳に話しかけられているようだ、私も基地外になってしまったのか。」
「脱出挺を用意してある、ついて来い砂漠の蛮族。」
「黙れ無礼者、基地外、包茎、童貞、うんこ。」

相手がテレパシー慣れしていないので淡々とした口調で罵られる、全部事実ではあったがダイダイオは怒りを堪える。

「無礼者で結構だ、あの狼藉者共より、まっとうにもてなす。」
「げせぬ。」

ドリザルがカターリナを取り囲む。やはり王国軍というよりも夜盗かヤクザもの崩れのような雰囲気しかしてこない。
そのうちの1機に至っては胴体に鬼の様なペイントを施している始末。
そこらに居たのを金でかき集めてきたのだろうか?もしそうなら王国軍はカツカツな状態なのだろうか?
異世界から来たダイダイオにとってはどうでもいい事なのだが妙に気になった。
騎士として王国という言葉に思う所あるからだ。

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